【まとめ】#ssmjp 2019年05月…波田野裕一氏「運用自動化の基本原則 その2」
「平易化の原則とキャリアパス」について、さらに追記です。
業務を構造化せず、部分的にでも平易化できる業務を大きく複雑な業務のまま残したらどうなるか。「組織のメンバーとしては替えが利かないが、外部労働市場における価値評価が低い職業人が出来上がる」というのがその答えになると思います。
構造化されていない複雑な業務に携わる職業人は、所属組織にとっては必要不可欠なので、その待遇はどんどん上がっていきます。しかしながら、所属組織に特化しすぎているため、外部労働市場における価値評価は低くなります。ゆえに、構造化されていない複雑な業務に携わる職業人は、所属組織に依存する職業人人生を送らざるを得なくなってしまいます。
確かに、終身雇用が前提であった旧来の日本型雇用慣習においては、外部労働市場における価値評価が低くても、所属組織に依存する職業人人生であったとしても問題はなかったのかもしれません。
しかしながら、日本を代表する経営者団体のトップから「終身雇用はもはや維持できない」という発言が出る、それが今の時代です。築き上げた仕組みが陳腐化するのが非常に速い、それが今の時代です。一人の人間が、人生のうちで職業人として過ごす時間はどんどん長くなっていく、それが今の時代です。
職業人を一つの会社組織に縛り付けることを前提としたキャリアパスを歩ませること。今の時代においては、極端な話、経営者による職業人に対しての犯罪ですらあるのではないのでしょうか。
- 平易であるはずの事柄を殊更複雑化しない
- 職業人を一つの会社組織に閉じ込めない
- 会社組織の枠を超えた職業人の価値の最大化を支援する
会社組織というのはそういうものであってほしいです。運用の構造化は、職業人にキャリア選択の自由という翼を与えるための仕組みでもあるのです。