当該スライドの23ページ目に、以下のような言及があります。
- 聞き手が、話し手の意図を汲み取る
- 仕事におけるドキュメントの価値が低い
このような現状というのは、運用現場以上に、建設業をはじめとする受注請負産業におけるつらい現実を作り出しているように思います。
「請け負け」につながる現状
以下のような理由から、中の人が自嘲的に「請け負け」と称する現実につながるのですよね。
- 発注側は、自分にとって都合が悪い文言を契約に盛り込まない
- 「発注者の受注者に要求できる限界」が定義されない
- 発注者は、「よい品を、早く、安く」を求めるものである
- 上述の理由から、発注者の要求は青天井が許されてしまう
- 受注側も、そのような不合理を当然のこととして受け入れてしまう
- 「発注がもらえなくなる」「受注できなくなる」という恐怖から、不合理をとがめることもしない
- むしろ「発注側の無理な要求を実現することが自分たちの仕事である」とすら考えている
受注側が国内に閉じこもる原因にもなる
日本式の「忖度駆動の仕事」というやり方というのは、契約ありき(What you see is ALL you get)である海外では通用しないやり方でもやります。「工程を進めていく中で発生した追加作業に対し、契約にないので費用を請求できない。よってプロジェクト自体が赤字になる。」というのは、スーパーゼネコンが海外事業で失敗する構図でもあります。実際に、「鹿島・大林・大成といったスーパーゼネコンが、ドバイやアルジェリアの大規模案件で大赤字を出した」というのニュースが、10年ほど前に経済メディアを賑わせているのですよね。
かような失敗が続いていくと、受注請負産業自体が国内に閉じこもることにもなりかねません。「日本の経済規模は、中長期的に縮小が避けられない」とさんざん言われているにもかかわらず、です。
結論
- 異業種転職に打って出ることができるくらいには若い
- 成長産業で働きたい
- 自主独立志向が強い
- 自己成長志向が強い
- 純粋に市場と向き合って仕事をしたい
- 「発注側企業の設備投資動向」といった変数に影響される状況を好ましく思わない
以上のような属性を持つ人が、「典型的日本型受注請負産業」を業とする事業者に身を置いているのならば、そろそろ脱出を決断するとき、なのかもしれません。