前文
プログラミングの世界におけるクロージャといえば、「変数のスコープを関数で切る技術」「前に関数から抜けたときの状態が、次に関数を呼び出したときに再現される関数」といった概念を指します。
しかしながら、NTT通信建設業界において、「クロージャ」という言葉は、プログラミングにおけるそれとは違う概念を指します。NTT通信建設業界におけるクロージャの意味、それは、「通信ケーブルの接続や分配を行うための端子ボックス」なのです。
この項目では、NTT通信建設業界で「クロージャ」として言及される概念の中でも、電話局から加入者設備までの線路で用いられる光クロージャについて説明します。
前提知識
「どの光クロージャを使うか」というのは、主に「光配線区画システムのどのポイントで光クロージャを使うのか」「光クロージャに収容される光ケーブルの種類は何か」という2点によって違ってきます。
また、通信線路関係においては、電話局側を「上部」、加入者設備側を「下部」と呼びます。
光配線区画システム
↑光配線区画システムのイメージ図(図はNTTアクセスサ-ビスシステム研究所から引用)
- NTT東西のフレッツ光においては、1Gbps~10Gbpsの帯域を32加入で共有している
- 2020年4月以降、アクセス回線10Gbpsのサービスが順次開始されている
- フレッツ光の設備全体を使う光コラボでも同様
- 戸建て向けのフレッツ光の場合、以下の要領で32分岐される
- NTT局舎内で4分岐
- 上図「配線点」で8分岐
- 集合住宅向けのフレッツ光の場合は以下のようなパターンがある
- 集合住宅の主配線盤で32分岐(4分岐→8分岐×4)
- NTT局舎内で4分岐→集合住宅の配線板で8分岐
- 上図「分配点」では、単心線集合型の光ケーブルとドロップ光ケーブルを接続している
- 配線点から先を流れる光信号は、32分岐後の光信号である
- 加入者宅への引込みは、ドロップ光ケーブルの形で行われる
架空光ケーブルに関する用語
SSケーブルと丸型ケーブル
「SSケーブル」とは、支持ワイヤが一体化されたケーブルのことを指します。断面はダルマ型となります。ケーブル種類としてSSケーブルであることを明示する場合、「SS」という略号が用いられます。
「丸型ケーブル」とは、支持ワイヤが一体化されていないケーブルのことを指します。ケーブル種類として丸型ケーブルであることを明示する場合、「ANS」という略号が用いられます。
架空光ケーブルの種類
SSZ/ANSZケーブル
SSW/ANSケーブル
単心SM型光ファイバSS/ANSケーブル
DZ/DZ-ANSケーブル
DF/DF-ANSケーブル
ドロップ光ファイバ
- 加入者宅に直接引き込まれる光ファイバ線路
- 心線数は「1心」「2心」「4心テープ」「8心テープ」がある
架空光クロージャの種類(現行品)
3号AOクロージャ
- 3号AOクロージャ「Z-C」
- SSZ/ANSZケーブルの接続点・配線点に使用
- 接続対象のケーブルの組み合わせにより、配線点下部の接続点に用いられる場合もある
- 3号AOクロージャ「S-C」
- 配線点上部における、単心SM型光ファイバケーブルの接続点・配線点に使用
- 接続対象のケーブルの組み合わせにより、配線点下部の接続点に用いられる場合もある
- 3号AOクロージャ「R-C」
- SSW/ANSケーブルの接続点・配線点に使用
- 接続対象のケーブルの組み合わせにより、配線点下部の接続点に用いられる場合もある
- 3号AOクロージャ「OR-C」
- 旧型架空光ファイバケーブルの接続点・配線点に使用
- 接続対象のケーブルの組み合わせにより、配線点下部の接続点に用いられる場合もある
- 「旧型」というのは、「工法上、テープ心線を単心線に分離できない」ことをもってその定義としている
- 3号AOクロージャ「H」
- き線点または3本以上の光ファイバケーブルの接続点に使用
AOTクロージャ
- AOT-Sクロージャ
- DZ/DZ-ANSケーブルおよびDF/DF-ANSケーブルの接続点・分配点に使用
- AOT-Mクロージャ
- 配線点下部における、単心SM型光ファイバケーブルの接続点・分配点に使用
- 配線点下部における、DFケーブルとその他のケーブルの接続点に使用
ルーラルエリア(非都市地域)用架空クロージャ
架空光クロージャの種類(旧仕様品)
名前のみ記載しておきます。
主に配線点上部に適用
主に配線点下部に適用
地下光クロージャの種類(現行品)
TN加入光用クロージャ
UOW-Sクロージャ/UOW-Pクロージャ
- ハンドホールにおける200心以下の光ファイバケーブルの接続に使用
- 地下配線区間の配線点に使用
- -Sは横からケーブルが出るタイプ(Inline型)
- 電線共同溝の大型マス向け
- -Pは下からケーブルが出るタイプ(Butt型)
- ハンドホールや電線共同溝の小型マス向け
UOT-Pクロージャ
- ハンドホールや電線共同溝におけるドロップ光ファイバケーブルの加入者引き落としに使用
- 下からケーブルが出るタイプ(Butt型)である
地下光クロージャの種類(旧仕様品)
名前のみ記載しておきます。