丁場とは
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建築業界1用語に、「丁場」というものがあります。 「『請負契約の形態』『工事内容・工事規模』などの違いにより、建築工事を分類する」という目的で使われる言葉です。
総称としての丁場は、さらに「町場」「野丁場」「新丁場」に細分されます。 「町場」「野丁場」「新丁場」それぞれについては、以降の項で説明します。
町場とは
街の工務店が顧客から請け負う類の建築工事を指す言葉です。 個人住宅の新築・リフォームの一部が該当します。
野丁場とは
ゼネコンが顧客から請け負う類の建築工事を指す言葉です。 公共工事を含む大規模構造物が主となります。
一般に、野丁場の建築事業者が町場の建築工事を請けることはありません。また、その逆もありません。 以下のような理由からです。
- 町場の仕事は、野丁場の事業者からすると「割に合わない」と考えられている
- 町場の仕事は、野丁場のやり方をするには規模が小さすぎる
- 町場の事業者が野丁場の仕事に適応するのは困難であり、その逆も同様である
- 町場の仕事と野丁場の仕事では、必要とされる技術・技能・マインドセット等が著しく異なる
新丁場とは
ハウスメーカーが顧客から請け負う類の建築工事を指す言葉です。 個人住宅の新築・リフォームの一部が該当します。
新丁場は、町場と野丁場両方の特徴が混在する形態です。 新丁場が野丁場と共通する特徴としては、「重層下請構造が存在する」という点が挙げられます。 一方、新丁場が町場と共通する特徴としては、「個人住宅の新築・リフォーム等が工事内容である」という点が挙げられます。
情報システムの受託開発事業における、町場と野丁場
私個人としては、「情報システムの受託開発」という事業形態においても、「町場・野丁場」という類推が適用できるのではないかと考えています。 具体的には以下のようなイメージです。
「丁場」という言葉に関係するであろう昨今のトレンド
「情報システムの受託開発」という事業形態においては、昨今「野丁場から町場へのシフト」がトレンドとなっているように思います。 大雑把には、「野丁場的な開発形態が適用できる範囲は、時を経るごとに狭まっていく」というトレンドです。 より具体的には以下のようなトレンドですね。
- 「納品のない受託開発」等、ITゼネコン構造からは大きく外れた開発形態が出現した
- 「環境変化の速度が上がり続ける」というトレンドに対応した諸変化
- 「開発前に仕様を確定する」というプロジェクトの進め方が成り立たなくなった
- 「とにかく動くモノを出して、その動きを評価する」というプロセスの重要性が高まった
「社会やビジネスの不確実性が高くなり続ける」というトレンドは、今後も続いていくでしょう。 その結果、「情報システムの受託開発」という事業分野において、野丁場的な事業形態が適用できる分野はますます狭くなり続けていくのではないかと思います。
まとめ
- 建築業界には、「丁場」という業界用語が存在する
- 丁場は、さらに「町場」「野丁場」「新丁場」に細分化できる
- 町場は、「工務店受注の個人住宅建築工事」を指すと考えてよい
- 野丁場は、「ゼネコン受注の建築工事」を指すと考えてよい
- 新丁場は、「ハウスメーカー受注の個人住宅建築工事」を指すと考えてよい
- 新丁場には、町場・野丁場両方の特徴が混在する
- 情報システムの受託開発事業においても、町場・野丁場という類推が適用できる
- 情報システムの受託開発事業においては、野丁場から町場へのシフトがトレンドになっている
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私個人としては、特に職別工事業において使われることが多い言葉であると認識しています。↩