「限定された倫理性」とは
「限定された倫理性」は、「倫理的に振る舞おうとする意思を当事者が有するにもかかわらず、実際には当事者が非倫理的な行動をとってしまう原因となる行動」を指す言葉です。
- マックス・H・ベイザーマン(Max.H.Bazelman)らにより、2011年に提唱された
- 「当事者に悪意がないにもかかわらず発生する企業不祥事1が増加を続けているのはなぜか」という問題意識から生まれた考え方である
「限定された倫理性」については、以下の書籍「倫理の死角ーなぜ人と企業は判断を誤るのか」にて、詳しく言及されているとのことです。
「限定された倫理性」の構成要素
「限定された倫理性」は、以下5つの要素により構成されます。
配慮に欠く目標設定
以下のような目標設定を指します。
- 非倫理的行動に出た方が当人の利益になる目標設定
- 意図せぬ非倫理的行動の助長につながる目標設定
動機付けられた見落とし
「他人の非倫理的行動に対し、見て見ぬふりをするほうが自分の利益になる」という状況を指します。 「見て見ぬふりによる自己保身」というのは、相手の非倫理的行動をエスカレートさせるとされています。
間接的であるがゆえの見落とし
「自分が手を下したくない仕事を請け負ってくれた相手に対し、便宜を図るような行動をとること」を指します。 相手に「借り」を作ることは、相手の非倫理的行動をエスカレートさせるとされています。
滑りやすい坂
「特定の人物の非倫理的行動に対し、当人のみならず、周囲の誰も気づかない」という状況を指します。 そうした状況下では、一度でも非倫理的行動が発生すると、それを止める手立てはもはや存在しません。
結果の過大評価
「成果さえ出していれば、過程における非倫理的行動は許容される」という状況を指します。
関連リンク
当記事の内容については、主に以下の論文を参照して記述しました。
以下、その他関連リンクです。
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「多くの人が知っていたこと、当たり前でしかも評価されていたことが、不祥事となって問題となった」(池田耕一)というのが典型的なパターンです。↩