today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

ssmonline #9 ~これからの時代の事業組織の話をしよう - 人事・HR考

概要

2021年4月28日に行われたssmonline #9の発表内容・感想のまとめです。

speakerdeck.com

旧来日本企業の人事組織と、外資系企業の人事組織の違いを考える

旧来日本型の人事組織構造考

www.michaelpage.co.jp

私個人としては、旧来日本型の人事組織は、以下のような特徴を持つと認識しています。

  • 人事部門が事業組織全体の人事権を掌握・行使する唯一の主体である
  • 解雇権以外の人事権の行使が、極めて広範に認められている

個人的には、「上述するような旧来日本型の人事組織の構造は、現在~未来には適切性を欠くのかもしれない」と考えています。その理由は以下です。

  • 特に専門職については、単一の事業組織内におけるタテ・ヨコの異動を前提とはできない
    • 旧来日本型のタテ・ヨコ異動は、個人の専門性確立を阻害する要因となる危険性が高い
  • 旧来日本型の人事体系は、一部例外(現業職採用等)を除き、専門職としてのキャリア形成が考慮されていない
  • 以下のトレンドはおそらく不可逆である
    • 各従業員のライフステージを無視するような人事権の行使がされる事業組織には、求職者が寄り付かない
    • 職業人は何らかの専門性を持たなければ生き残れない

外資系企業のHR部門はどうなのか

jinjisoshiki.hatenablog.com

外資系企業のHR部門は、以下のような特徴を持つと認識しています。

  • 人事権そのものは、現場が主体的に行使する作りになっている
  • HR部門は、現場が人事権を行使するにあたり、付随する各種サービスを提供する部門である
    • 人事権の行使に、法的・道義的な問題がないかを助言する
    • 外部サービス(転職エージェント等)の使用を取りまとめる
    • 各現場の人事施策と事業組織全体の人事施策に矛盾が生じないように調整する

上述のようなサービスには、ITILでいうところの「サービスカタログ」や「サービスデリバリ」が適用されると認識しています。

組織変革のスタート地点…人事制度の変革

事業組織の文化は、その事業組織が持つ人事制度に引きずられるものです。人事制度が体育会系の事業組織は、組織文化も体育会系になりがちです。一方で、人事制度が真に多様性を尊重する作りになっている事業組織には、多様なバックボーンを持つ人達が引き寄せられるものです。

日本には、「朱に交われば赤くなる」という格言があります。個人的には、事業組織の風土における「朱」というのは、人事制度そのものを指すのではないかと考えています。人事制度次第で、組織風土は如何様にも変わりうるのではないでしょうか。

一方で、人事制度を聖域化してしまうと、その時点で組織変革は不可能になるのではないかと考えています。「人事制度を変えずに組織変革を叫ぶ」という行動は、組織変革がポーズだけである現れである…これは断言してしまってもいいと思います。