概要
NTT東西発注の電気通信工事の元請は、遅くとも1978年時点以降に新規参入した事業者が存在しません。より具体的には、「1978年時点で電電公社発注の工事を元請受注していた事業者及びその流れをくむ事業者が、2022年になってもNTT東西発注の通信線路工事を寡占している」という状態となっています。
1978年といえば、まだNTTは存在せず、電電公社が存在していた時代です。しかしながら、電電公社民営化・NTT発足以降も、NTT発注の電気通信工事(特に通信線路工事)に元請として新規参入する事業者は現れず、2022年に至っています。2022年現在においても、NTT東西発注の通信線路工事は、1978年時点で電電公社1級認定業者であった事業者の流れをくむ事業者のみによる寡占となっているのです。
この記事では、1978年2月現在の電電公社1級認定業者26社の内訳と、その26社が如何なる沿革をたどって現在NTT東西発注の通信線路工事を寡占する事業者となったかを記述していきます。
1978年2月時点の電電公社1級認定業者26社
1978年2月10日、第84回国会・参議院決算委員会にて、当時電電公社建設局長であった高橋敏朗氏がこの時点における電電公社1級認定業者26社の内訳について答弁を行っています。
当該答弁において言及された26社は、本社が所在する地域別に以下となります。
- 関東(11社)
- 池野通建
- 協和電設
- 三和大栄電気興業
- 新興通信建設
- 大明電話工業
- 大和通信建設
- 東洋電機通信工業
- 日本通信建設
- 目黒通信建設
- 都築通信建設
- 電気興業
- 信越(1社)
- 信越通信建設
- 東海(2社)
- 中部通信建設
- 日本電話施設
- 北陸(1社)
- 近畿(3社)
- 近畿通信建設
- 昭和電気建設
- 日本電通建設
- 中国(2社)
- 光和建設
- 広島建設工業
- 四国(1社)
- 四国通信建設
- 九州(2社)
- 西部電気工業
- 西日本通信建設
- 東北(2社)
- 東北通信建設
- 大和電設工業
- 北海道(1社)
- 北日本通信建設
2022年現在、NTT東西発注の電気通信工事を元請受注可能な会社(+α)
2022年現在、NTT東西発注の電気通信工事を元請受注可能な会社は、全社が上述26社の流れをくむ会社となっています。太字は1978年時点の電電公社1級認定業者の社名です。
- 日本コムシス
- サンワコムシスエンジニアリング
- 1996年4月、三和大栄電気興業から三和エレックに社名変更
- 2005年4月、三和エレックからサンワコムシスエンジニアリングに社名変更
- 同社は現在NTT東西発注の工事を行っていない
- TOSYS
- 1997年4月、新潟電話工業が信越通信建設と合併、東日本システム建設に社名変更
- 2012年10月、東日本システム建設からTOSYSに社名変更
- つうけん
- 1992年6月、北日本通信建設からつうけんに社名変更
- NDS
- 2012年10月、日本電話施設からNDSに社名変更
- 北陸電話工事
- 1978年2月以来現社名である
- SYSKEN
- 1986年4月、西日本通信建設から西日本システム建設に社名変更
- 2014年10月、西日本システム建設からSYSKENに社名変更
- エクシオグループ
- 1991年、協和電設から協和エクシオに社名変更
- 1997年10月、昭和電気建設、昭和テクノスに社名変更
- 2001年4月、協和エクシオ、昭和テクノスを吸収合併
- 2022年、協和エクシオからエクシオグループに社名変更
- エクシオテック
- 2000年4月、新興通信建設が大和通信建設と合併、和興エンジニアリングに社名変更
- 2015年7月、和興エンジニアリングが池野通建と合併、エクシオテックに社名変更
- 同社は現在NTT東西発注の工事を行っていない
- 大和電設工業
- 1978年2月以来現社名である
- シーキューブ
- 1992年10月、中部通信建設からシーキューブに社名変更
- 日本電通
- 西部電気工業
- 1978年2月以来現社名である
- ミライト・ワン
- TTK
- 2005年4月、東北通信建設がTTKに社名変更
- ソルコム
- 四国通建
- 1988年7月、四国通信建設が四国通建に社名変更
その他
1978年時点で電電公社1級認定業者であった事業者のうち、2022年時点で「通信建設業」というカテゴリーに該当しない事業者は、都築通信建設と電気興業の2社となります。このうち電気興業は、「証券コード:東証プライム6706」「DKK Co.,Ltd.」と同一の事業者と思われます。一方の都築通信建設は、その後の沿革が大変闇の深いものとなっています。
↓都築通信建設のその後 w.atwiki.jp