リトラクタ式墜落阻止器具とは
建設現場等で用いられる墜落阻止器具の一種に、「リトラクタ式墜落阻止器具」というものがあります。全体としては、以下のような働きをする器具です。
- 高所への昇降が伴う作業の際に用いられる
- 高所作業車を用いない電柱上における作業など
- 地上を離れてから再び地上に降り立つまでの墜落を防止する
- 昇降中の墜落防止も含む
- 2つのフックが付いており、両方を引っ掛けて用いる
- 高所に昇る前に、作業位置より高い場所に器具のフックを引っ掛ける
- ロープ先端のフックを安全帯のD環に引っ掛ける
- リトラクタによる自動巻取り機能により、ロープの長さが常に適切な長さになる
- 万が一の墜落時には、速やかにロープがロックされ、さらなる墜落を防ぐ
- 車のシートベルトのロックと同様の機構
リトラクタ式墜落阻止器具のメーカーと商品名
リトラクタ式墜落阻止器具は、以下のようなメーカー・商品名にて発売されています。
- 藤井電工
- ベルブロック(ストラップ式)
- サンコー(ブランド名はタイタン)
- SBシリーズ(ワイヤー式)
- タフブロック(ワイヤー式)
- マイブロック(ストラップ式)
- ウェブロック(ストラップ式)
- ポリマーギヤ
- ブロックリール(ストラップ式)
- トーヨーコーケン
- キーパー(ストラップ式)
モノタロウなど、通販サイトでも購入することができます。
NTT通信建設業界におけるリトラクタ式墜落阻止器具の呼称
NTT通信建設業界では、リトラクタ式墜落阻止器具全般に対し、何の前置きもなく「ベルブロック」という名称が用いられています。業界機関誌「Raisers」や各社のプレスリリースにおいても、「ベルブロックは藤井電工株式会社の登録商標です」という記述は見かけたことがありません。
結論
個人的には、「NTT通信建設業界におけるリトラクタ式墜落阻止器具の呼称」のような状況は正直まずいと思います。「商品名を普通名詞のように使うことが常態化することにより、同一機能の競合製品という選択肢を無意識的に排除してしまう」からです。「NTT通信建設の現場におけるリトラクタ式墜落阻止器具」の場合だと、「ベルブロックという名称を用いることにより、藤井電工製品以外が無意識的に排除されていしまう」という問題ですね。実際のところ、現場でも藤井電工製品以外のリトラクタ式墜落阻止器具が使われている事例を見聞きしたことはありません。
商品を購入・調達する側としては、「商品名を普通名詞のように使うことは意識して避け、より一般的な名称を用いる」ことが必要になると思います。