同人誌即売会、グッズのセールスと小説のセールスはまるで違う
概要
twitter.com明日もう少し細かく書きますが、グッズメインと小説メイン、どちらでも売り子をして売上を伸ばしましたが参加者へのアプローチの仕方は全然違ったなぁ
— 囃ちづる@封18売り子 (@net0sut0kier0) 2022年1月12日
「サークル売り子として、グッズ系のサークルでも小説系のサークルでも完売御礼に導いた」という囃ちづるさん。囃ちづるさんの「頒布物のセールスに関する解説」は、私も「おおっ」と思うものでした。その「頒布物のセールスに関する解説」が、こちらのツイートから始まる一連のツイートです。本記事では、こちらのツイートから始まる一連のツイート群について、私見を交えつつ解説していきます。
前提
大前提として、人間は視覚優位の生物です。人間にとって、イマジネーションの主たる起点は視覚情報です。人間であれば、視覚情報を得られない対象をイメージするのは本質的に難しい行為です。ゆえに、セールスのアプローチを考えるにあたって最重要のポイントは「売り物の中身を視覚的に認識するのがどれだけ容易であるか、もしくは困難であるか」となります。(この段落は私見となります)
上述の大前提から、同じ「同人誌即売会の頒布物」としてカテゴライズされる品目であっても、グッズ1と小説では全く違った性質があることが容易に導けます。
- グッズならば、それが何であるかはぱっと見で明確にわかる
- 小説ならば、それが何であるかは内容を仔細に読んでみなければわからない
以上の前提を踏まえると、「グッズと小説ではセールスのアプローチが全く違ってくる」「適しているであろうセールスのアプローチは、グッズであれば百貨店の販売員型であり、小説であれば実演販売員型である」…というのが元となるツイート群の主な意見となります。
どのような売り物であっても共通のやり方
「グッズと小説ではセールスのアプローチが全く違ってくる」とはいえ、どのような売り物であっても共通のやり方は存在する…と元ツイート群では説明されています。
- 立って、自然な大きさ・少し高めの声で呼びかける
- 目が合ったら笑顔で
- 一般参加者を受け入れる姿勢を示す
- 「無償配布品だけでも」「ペーパーだけでも」など
私としては、「サークルスペースの前を通る人は、ひとまず『自サークルの頒布物を購入してくれる可能性のある人』であると考える」「まずは受け入れ、好印象を与える」というスタンスを行動で示すのが良い結果に結びつく…ということなのだろうと思います。
グッズ型の売り物の場合
項「前提」の記述を踏まえて、グッズ型の売り物の特徴としては、以下のような事柄が導けます。
- それが何であるかについて、詳細な説明が要らない
- 買うか買わないかは初見数秒で決まるのが一般的である
- ゆえに、売り物自体について、売り手側が積極的に働きかける必要がない
その結果、グッズ型の売り物の場合、セールスのアプローチのポイントは以下のようなものになる…と元ツイート群では説明されています。
- 頒布品についての話は手短に済ませる
- 相手の服装・戦利品等を褒める
- 相手の話を聞く場面を設ける
小説型の売り物の場合
項「前提」の記述を踏まえて、小説型の売り物の特徴としては、以下のような事柄が導けます。
- それこそ手に取って本を開くまで内容がわからない
- それが何であるかを知るためのハードルが高い
- ゆえに、売り物自体について、売り手側が積極的に働きかける必要がある
その結果、小説型の売り物の場合、セールスのアプローチのポイントは以下のようなものになる…と元ツイート群では説明されています。
- 売り物の魅力を手短に話す
- 相手に売り物を渡し、内容を見てもらう
- その時に、相手の注目を惹きそうなキャッチフレーズとともに
- 細かい内容は話さずに、抽象的に売り物を褒める
その他の特徴を持つ売り物
(この項は、全体が私見となります)
グッズ型であっても、より説明が必要となるケースはあるでしょう。例えば以下のようなケースです。
オリジナル楽曲をはじめとする音系の売り物は、小説系の売り物に近い特徴を持つ売り物です。音系の物品は、視覚ではなく聴覚ありきの物品であるからです。
また、無形物2を売るにあたっては、「小説系の売り物の売り方」を小説そのもの以上に突き詰めていく必要があると思います。
結語
- 人間は視覚優位の生き物であるゆえ、グッズと小説ではセールスのアプローチが全く違ってくる
- どのような売り物であれ、まずは購入者となりうる人を受け入れ、好印象を与えるところから
- 「グッズ」「小説」以外のカテゴリーの場合、セールスのアプローチは「対象物はどれだけ視覚的に認識しやすいか」を念頭において考えよう
こんなところでしょうか。
私製「情報配線施工技能者」のCCUS能力評価基準
概要
情報配線施工技能者には、現時点で建設キャリアアップシステム(CCUS)能力評価基準を作成できるだけの資格体系が存在します。しかしながら、これらの資格体系は、現時点でCCUS上の位置づけが存在するものではありません。というわけで、私的に「情報配線施工技能者のCCUS能力評価基準が作られるとしたら、その内容はどういったものであろうか」を考えてみました。
この記事の内容は私製の叩き台であり、建設キャリアアップシステム上の位置づけが存在する正式なものではありません。
本記事の作成にあたり、以下の文書を参考にさせていただきました。
呼称
情報配線施工技能者(?)
能力評価実施団体
認定日
未定
内訳
レベル4
レベル4就業日数
10年(2150日)
レベル4保有資格
レベル4就業日数(職長+班長)
職長として3年(645日)
レベル3
レベル3就業日数
5年(1075日)
レベル3保有資格
レベル3就業日数(職長+班長)
職長または班長として1年(215日)
レベル2
レベル2就業日数
3年(645日)
レベル2保有資格
- ●2級情報配線施工技能士
- ●下記資格のうち1つ以上
- 下記資格のうち1つ以上
- フルハーネス型墜落制止用器具特別教育
- 高所作業車運転特別教育
- 酸素欠乏危険作業主任者技能講習
レベル1
建設キャリアアップシステムに技能者登録され、かつ、レベル2からレベル4までの判定を受けていない技能者
注釈
「●」で示した資格は、いずれかの保有で可です。
「自分の仕事に値段をつけられない構造」が生むもの
「自分の仕事に値段をつけられない構造」とは
ある事業が「事業」としてまともに成立しているならば、その事業は「自分の仕事に値段をつけられる構造」が存在していると考えてよいでしょう。具体的には、以下のようなメカニズムに基づいて仕事に値段がつけられます。
- その仕事に対する購入者のブランドイメージ
- 同様の仕事の市場価格・相場
- 他事業者との競争状況
しかしながら、世の中には上述のような状況が成り立っていない事業が少なからず存在します。そのような構造を「自分の仕事に値段をつけられない構造」として、「自分の仕事に値段をつけられない構造」の問題点について記述していく…というのが本記事のテーマです。
「値段がブランド価値を生む」という現実への無頓着
「値段付けはブランド価値の根底となるもの」であり、「安売りは長期的にブランド価値に致命的な悪影響を及ぼす」というのは、販売行為に従事する人であれば、上記記事に限らずイメージできるものでしょう。
一方で、「自分の仕事に値段をつけられない構造」の場合、市場に参加する事業者も「値段を安くしなければ受注できない」という価値観を強く有しているのが一般的です。その結果、「同じ値段で多くの付加価値をつける」「付加価値が同じなら値段を安くする」という発想を皆が行い、「悪気なく自分を安売りする」「悪気なく知識労働を安売りする」というパターンに至るわけです。市場全体が「自分を安売りして、結果自分の価値を下げてしまう」というアンチパターンに陥るわけですね。
「自分がしている仕事の相場感」がわからない状況
特に建設業においては、「発注者が決めた値段が先に存在し、そこから受注各段階でマージンを引いていったものが各事業者の取り分となる1」「発注者による値段付けは、コストの積み上げによって行われる」という現実が存在します。そのような状況では、価格決定メカニズムに対して無頓着となることは避けられません。
「自分がしている仕事の相場観がわからない」という状況のもとでは、「異常な安値で仕事を受注しても、それが当たり前だと思ってしまい、異常な安値で仕事を受注していることに気づかない」という問題が発生します。「異常な安値」が上述の「価格がブランド価値を生む」という現実と合わさると、「業界全体が自分を安売りする」という構図となり、外からも「あの業界は自分を安売りする業界だ」「あの業界が相手なら足元見ても問題ないぞ」というイメージを持たれ、業界全体が等しく苦しむようになるのです。
「事業主」という概念に対する誤解
「自分の仕事の値段を自分でつけることができる」というのは、事業主という概念を成立させるための必要条件です。対偶を取ると、「自分の仕事の値段を自分でつけられない者は事業主ではない」となります。
しかしながら、「自分の仕事に値段をつけられない構造」のもとにおいては、「自分の仕事の値段を自分でつけていない者が『事業主』と称する」というケースが多々発生します。「実際には労使メカニズム2で仕事の値段が決まっているにもかかわらず、受注側が自分を『事業主』と考えてしまう」というようなパターンですね。
「値段以外に競争力を見いだせる要素がない」という現実
特に建設業においては、工法等は既にコモディティ化しているのが一般的です。また、公共性が強い工事においては、「諸事情により、適用する工法そのものも事前に決まっている3」というケースが少なくありません。そのような状況では、「価格以外に競争力を見いだせる要素がない」という厳しい現実が存在します。
「値段以外に競争力を見いだせる要素がない」となると、「際限なき価格競争により、業界全体が等しく疲弊していく」という構図になるのは避けられません。
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国発注の工事の競争入札には、会計法第29条の6により、「予定価格を超える価格で落札することはできない」という規制が存在します。予定価格を1円でも超えたら失格です。そのため、入札参加者は「いかに予定価格ギリギリの値段で落札するか」を求める志向が強くなります。↩
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本記事では、「発注者と受注者の力関係によって外注契約の値段が決まる」「発注者に比べて受注者の力が弱い場合、一方的な価格引き下げが行われる場合があり、しかも受注者は対抗手段を持たない」というメカニズムを「労使メカニズム」としています。当該「労使メカニズム」は、「他事業者との競合状況や市場の需給状況によって外注契約の値段が決まる」という「市場メカニズム」の対義語となります。↩
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公共工事においては、「会計監査を無難に乗り切るために、建前上任意仮設とされているものが事実上指定仮設となっているケース」が多いとされます。ある種のインフラ工事においては、「工事に使われる技術そのものが発注者により開発されたものであり、工法そのものも発注者から与えられるのが当たり前となっている」というケースが存在します。↩
ジャパニーズトラディショナルな信義則
ジャパニーズトラディショナルな…
ある程度以上の伝統を持つ日本の大企業に対し、「ジャパニーズトラディショナルカンパニー(JTC)」と呼ぶ場合があります。「日本の大企業のダメな部分を揶揄する」という意味合いを多分に含む表現であり、良い意味ではまず使われない表現です。
しかしながら、「信義則の日本独自解釈」というのは、そうした契約に関係する人でない限り、なかなか問題にはされません。当記事では、「日本独自の解釈がなされた信義則」を「ジャパニーズトラディショナルカンパニー」に倣って「ジャパニーズトラディショナルな信義則」と定義し、その定義や内実について言及していきます。
「ジャパニーズトラディショナルな信義則」とは
信義則に対する以下のような解釈のことを指します。日本のビジネスの現場においては、当たり前のものとして受け止められているのではないでしょうか。
- 発注者・受注者双方に対し、モラルハザード1の発生を禁止する
- 発注者は、受注者に過度の負担をさせないことを前提とする
- 受注者は常に発注者の利益を第一に考え、発注者の利益を害して超過的な利益を得るような行動に出ないことを前提とする
- 発注者は契約変更の影響を正確に評価できることを前提とする
- 受注者は契約変更の必要性・規模について、立証責任及び立証義務を有さない
- 受注者は契約不適合(旧…瑕疵担保)について無過失責任2を負う
- 契約が想定しない事柄についての決定手段が、著しく具体性を欠く3ものである
かつての日本企業の代表的勝ちパターン
「ジャパニーズトラディショナルな信義則」は、多くのビジネスが日本国内で完結できていた時代において、日本企業の代表的な勝ちパターンの一つでした。「契約を極限までシンプルなものにすることにより、契約に割くリソースを最小限とし、生産活動にリソースを全振りすることができた」というのがその理由です。
なお、「ジャパニーズトラディショナルな信義則」が企業の勝ちパターンとして成立するためには、「契約当事者が同じ価値観を共有していること」が前提として必要とされます。実際、多くのビジネスが日本国内で完結できていた時代には、「契約当事者が同じ価値観を共有している」という前提も成立していました。
現代の日本企業の代表的な足かせ
一方、経営がグローバル化してくると、「ジャパニーズトラディショナルな信義則」は、逆に経営の大きな足かせとなります。
日本国外の事業者に、日本企業と同じ価値観を有することは期待できないですし、期待してもいけません。価値観を共有しない関係性の下では、「契約によって権利義務関係をデザインする」「契約によって紛争解決手段を定める」「契約によって補償を定める」といった営為が非常に重要になってきます。しかしながら、「ジャパニーズトラディショナルな信義則」を所与のものとして事業を展開してきた日本企業は、日本国外の事業者との間の契約をうまくデザインする能力が不足してくるのです。
実際、ゼネコンなどにおいては、「突発的な請求や費用の高騰により、海外案件で大赤字」という事態が多く発生しています。
プラントエンジニアリング大手が生きる道
私自身としては、日揮や千代田化工建設といったプラントエンジニアリング大手は、「ジャパニーズトラディショナルでない信義則」に勝機を見いだせるのではないかと思います。「途上国を含めた海外建設案件を数多く手掛け、長年に渡り事業を続けている」というのは、「ジャパニーズトラディショナルでない信義則」について、相応のノウハウがなければ不可能であるからです。
参考文献
会社の飲み会の問題地図
「事実上拒否権のない強制参加、プランは飲み放題、役職者・喫煙者・酒飲みがイニシアティブを握る」といった特徴に象徴される「旧来型の会社の飲み会の問題地図」です。「旧来型の会社の飲み会」は、以下のような問題につながっていきます。
- 社会との接点減少
- 家族との関係悪化
- 生活満足感の悪化
- 仕事のパフォーマンス悪化
- ハラスメントの発生
「酒は酔っ払うために飲むものという認識」「仕事上の序列関係が持ち込まれる飲み会」「何も考えず、何も説明なしに飲み放題が選択される」といった風習は、そろそろアップデートする必要があるでしょう。
さん/くんシステムの問題地図
バブル期頃からの伝統のある日本企業なら根強く残っているであろう「さん/くんシステム」には、突っ込んで考えていくとこれだけの問題を引き起こすものです。
- 人事制度の硬直化
- 社内人間関係の硬直化
- 異質な者を受け入れないことによる機会損失の発生
- 対外的な企業イメージの低下
- 中高年の労働生産性低下
- 従業員のストレス
- ハラスメントの発生
自分だけでも「周囲の人は全員さん付けで呼ぶ」という習慣を貫きたいものです。
「さん/くんシステム」とは
「さん/くんシステム」とは、以下の呼び分けが無意識的に行われるような職場の人間関係の不文律を指します。
- 年上/新卒入社年次が前の人には「さん付け、敬語」
- 年下/新卒入社年次が後の人には「タメ口」
- 年下/新卒入社年次が後の男性には「くん付け」
以下の記事において、「さん/くんシステム」とその問題点について突っ込んだ解説がなされています。