概要
以下の記事を読んでのまとめ・感想です。
さん/くんシステムとは
以下の表に記載するような呼称・敬語使用の使い分けを行なう、組織内部における呼称システムです。
自分と相手の関係性 | 呼称 |
---|---|
相手が自分より年上 | さん付け・敬語使用 |
相手が自分より年下 | 敬語を使わない |
相手が自分より年下の男性 | くん付け |
さん/くんシステムの実例
Y課長「Sくん、例の件だけど、こうしてみようよ」
S部長「なるほど、Yさんはそう思うわけですね。じゃあHくんはどう?」
Hさん「そうですね、私もYさんの意見に賛成です」
年下を「呼び捨て」にする会社員は、しだいに身動きが取れなくなる | 会社人生を後悔しない40代からの仕事術 | ダイヤモンド・オンライン
以上の会話例における各人の年齢・職位序列の関係性は、上述関係性・呼称の対応表から、以下の関係性であることが見えてくるわけです。
序列を決める要素 | 序列 |
---|---|
職位 | S部長>Y課長>Hさん |
年齢 | Y課長>S部長>Hさん |
さん/くんシステムが広く存在する組織
以下のような組織には、さん/くんシステムが今なお広く存在するものと考えられます。
- 「同期カルチャー」が今なお根強く存在する組織
- 縦の序列や、指示・命令系統がはっきり存在している組織
- いわゆる「体育会系」と形容される組織
「同期カルチャー」というのは、従業員を入社年次ごとに十把一絡げのものとして扱うカルチャーを指します。以下のような特徴を持つ組織に強く現れる風土です。
「縦の序列や、指示・命令系統がはっきり存在している組織」というのは、請負契約に依拠する業種、とりわけ重層下請構造が存在する業種に多く存在します。特に建設業1は、このような特性が強いと考えることができます。
「いわゆる体育会系」というのは、「縦の序列がはっきり存在している組織」の代表的な例ですね。
さん/くんシステムの問題点
さん/くんシステムは、「年齢(または入社年次)によって、人との付き合い方を変える」というコミュニケーション手法です。そのような手法を日常的に用いていると、以下のような問題の発生は避けられません。
- 年齢に基づく縦の序列意識が温存されてしまう
- 「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える」という風潮が温存されてしまう
昨今、「縦の序列意識を取り払う」という目的で、社内における「役職呼び」を明確に禁止する組織が増えてきました。しかしながら、さん/くんシステムが温存されていると、「年齢に基づく縦の序列意識」は温存されてしまいます。さん/くんシステムが温存されていると、「役職呼びの禁止」のような施策を行ったとしても、その結果は不徹底なものとなる…というわけです。
「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える2」という風潮は、概要記載の記事でも言及されているように、ダイバーシティ(自分たちと異なる考え方を受け入れる)という考え方に反するものです。「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える」という風潮が温存されている組織は、若年者が寄り付かずor離れていき、長期的に衰退・消滅に至る危険性が高いです。
さん/くんシステムを乗り越えるために
さん/くんシステムを乗り越えるために、個人レベルでできることは多くあると考えています。
- とりあえず自分だけでも、周囲の人全員を「さん」付けで呼ぶようにする
- 概要記載の記事にも、この対応については言及されている
- 年齢や役職は関係ない
- 当初感じるであろう違和感は、意識して克服する必要がある
- とりあえず自分だけでも、周囲の人全員に敬語を使うようにする
- 「役割の違いは役割の違い」と、意識的に割り切って考える
- 役割の違い・世代の違いを、身分の違いと捉えてはならない
- 「ダイバーシティを実現できている組織では、『全員さん付け』というスタイルが一般的であること」を認識しておく
- 概要記載の記事にも、この対応については言及されている
- 年齢やキャリアの序列が把握しきれないほどバラバラになっている組織では、そうせざるを得ない