転職透明化らぼ x kiitok - スタートアップ企業の見分け方編の一発表の感想まとめです。
登壇者プロフィール
- 新卒で凸版印刷に入社
- 主にSIerが手掛けるような業務システムに、要件定義から運用まで関与していた
- 初転職でリクルートテクノロジーズへ
- 大規模Webサービスやスマートフォンアプリのプロダクトマネジメント・プロジェクトマネジメント・性能チューニング等
- 2度目の転職で発表時点の現職であるCAMPFIREへ
- プロダクトマネジメント・組織マネジメントを現在の職種とする
転職活動を進めるにあたり
大手企業を離れた理由
- 事業の数字に責任を持ちたかった
- 「自分がいなくても事業が回る」という不安があった
- 周りの人が優秀すぎる
- 所属企業のネームバリューが優秀すぎる
以上の事柄を挙げていました。
とかく大手企業というのは、以下の要素に該当する場合が多いです。
- 儲けを得るための仕組みが確立している
- 既存の仕組みをそつなく回していくことが求められる
- 既存の仕組みの分前にあずかることができる
「安定志向が強い」「仕事を腰掛けと割り切って趣味の人生を送りたい」「思考停止して会社に人生を預けてしまいたい」「自分は凡人であるという自覚がある」…そういう人にとっては心地よい状況なのかもしれません。しかしながら、「成長志向が強い」「自分自身の価値や人生を自分自身でコントロールしたい」というような人にとっては、多くの場合心地よい状況であるとはいえません。
とりわけ社会に強烈なインパクトを持つリクルート系列となると、「名前だけで飯食っていけるんじゃないか」レベルのネームバリューがあるのは想像に難くありません。それだけ優秀な人たちも集まってきます。自分の価値に対して強い動機がある人だと、「埋没するんじゃないか」「思考停止して会社に人生を預けるようになってしまうのではないか」といった不安が強く出るのは無理もないのではないでしょうか。
転職エージェントを使わなかった理由
昨今、現業職以外の転職活動においては、転職エージェントのサービスを利用して進めていくことが多いです。リクルート系列や毎日コミュニケーションズ系列、IT業界を対象としたベンチャー企業など、多種多様な転職エージェントが存在します。
しかしながら久津氏は、今回の転職活動にあたり、転職エージェントのサービスは利用しなかったそうです。「見当違いのオファーを紹介されたため」ということでした。「自分の要望をうまく言語化できないと、転職エージェントの利用は難しい」という趣旨のこともおっしゃっていました。
今の企業を選んだ理由
- 「新規事業の責任者」というポスト
- 事業ドメインの将来性
- イケてる感
「自分のキャリアパスを自分の手で作り上げたい」という場合、「自分が望むスキルセットの方向性」「会社が用意することができる職務の方向性」「自分の仕事ぶりによって会社や社会に何をもたらすことができるか」以上が有機的に結びついた職務内容の仕事ができることが重要になります。久津氏の場合、おそらくそういうことを考えた末での「新規事業の責任者」ということだったと解釈します。
「クラウドファウンディング」といえば、昨今さまざまなサービスが出てきて成長しているという分野です。国内でいえば、CAMPFIREの他にはmachi-yaなどのサービスが出てきています。海外においても、Patreonやko-fiといった比較的新しいサービスが成長しています。少なくとも、以下の条件は満たしている分野であるように思います。
どう考えても「古い業界」「枯れた業界」にカテゴライズされる業界ではないですし、「既にある仕組みを維持運営していくことを生業としていく」という業界でもありません。「イケてる感」というのは、そういうことを言うのだと考えています。
転職活動の結果
「全体としては満足度が高いが、ところどころに事前に持っていたイメージとのギャップがある」という趣旨のことをおっしゃっていました。
転職活動中に想像していたものと、現状の合致点
- 想像以上の広範な裁量
- ゆとりある働き方の実現
- 不満のない待遇
とかく大手企業だと、業務が細分化されすぎて、とりわけ若年期に得られる裁量の範囲が非常に狭いのが常なのですよね。仕事を単に「時間を売ってお金を稼ぐ手段」と割り切るならともかく、「人生の主たるアクティビティ」として充実させようとするなら、裁量の範囲が狭すぎる環境というのは致命的問題とすらなりえます。
働き方や待遇については、私は正直なところよくわからないです。新卒から1社にしか勤めた経験がなく、比較検討するという水準に達していないのです…。
転職活動中に想像していたものと、現状の相違点
- 気づいたらなんでも屋になっていた
- 選考時の話と実際の内容にギャップがあった
- 想像以上にカルチャーギャップが大きかった
「イケてるベンチャー」という先入観の影響は想像以上に強かった…ということだそうです。
今後の転職活動への教訓
- とにかく多くの人の話を聞く
- 遠慮なく細かい質問をする
- 可能なら短期間一緒に働く
以上の事柄を挙げていました。
スタートアップ転職の問題
面接官も知らない会社の現状
「会社の現状については、面接官ですら知らない部分があると考えておいたほうがよい」とのことです。具体的には、以下のような要素に関する話です。
- プロダクトの現状
- 開発組織の現状
氏が自身の転職に関してされていた話では、「担当予定プロジェクト・担当予定職位の前任者が離職済みであったというのは聞いていなかった」という話題がありました。
カルチャーに対する先入観
「イケてるベンチャー」というのは、とかく十把一絡げに捉えられがちなパワーワードです。しかしながら、実際にその一員として働くとなれば、「イケてるベンチャー」の一言で終わらせては致命的ミスマッチに至る危険があるものなのです。
体育会系の気風が強いのかそうでないのか。ミッションありきなのかビジョンありきなのか。技術志向なのかマーケット志向なのか。社員の働きがいについてどう考えているのか。さまざまな切り口で検討できます。また、採用後のミスマッチを防ぐために実際検討しなければならないものでもあります。
今は採用側。採用側になって思ったことは…
採用側としては、「採用活動に手間がかかることは意外と厭わない」そうです。「手間」というのは、具体的には「面接相手を指名される」「面接時に細かい質問をされる」といったものが該当します。「真摯に自分たちのことを見てくれている表れなので、むしろ好感を持てる」のだとか。
一方で、「カルチャーの説明はやはり難しい」そうです。転職活動をしてみないとわからないことの典型例として、「自分の常識は世界の非常識」というのがありますが、「自分が常識だと思っていることを、それを常識だと思っていない他の人に対して説明する」というのは、やはり並大抵のことではないですよね…。