today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

NTT通信建設業界における合同新入社員研修

「新入社員研修の合同開催」について、思うところがあったので一つ記事を書いてみます。

newswitch.jp

NTT相手に仕事を行う通信建設会社においても、「業界団体による合同の新入社員研修」という習慣があります。 しかしながら、NTT通信建設業界における合同新入社員研修は、このニュースで取り上げられているようなものとは大きく違うように思います。

NTT通信建設業界における合同新入社員研修の内容

NTT通信建設業界における合同新入社員研修は、同業界の業界団体である情報通信エンジニアリング協会が実施するものが主であり、当該研修は「基礎研修」と呼ばれます。NTT設備のどの分野で仕事を行うかに応じて、「線路科」「土木科」「所内科」「電力科」「統合科(線路科と所内科の両方)」の各コースがあります。NTT通信建設業界における合同新入社員研修には、以下のような特徴があります。

  • 自前で新入社員研修研修を行えるほどのリソースを有する大企業が合同で新入社員研修を行っている
    • もっとも、業界全体が全国大手3グループにまで再編された現在では、「企業グループ別に自前で実施する」という方向性に向かってきている
  • 研修内容は、現場作業に必要なスキルに関する教育訓練が中心
    • 業界各社、いずれも「現場がどういうものであるかを知るために、新卒入社から数年は技能労働者として現場作業」というキャリアデザインを描いている
    • 「実務経験を積むための前提となる知識・技能」が研修内容である
  • 対象設備はNTT設備であることが前提となる
    • 設備そのものがNTTの資産である
    • 設備の規格・仕様もNTTが制定する
    • NTT設備の規格・仕様は一般には公開されておらず、NTT発注の工事に従事する者でなければ得ることができない
  • 数週間~1ヶ月程度にわたって開催され、終了後のフォローアップ等は特にない
  • (線路科・統合科の場合)労働安全衛生規則に定める「フルハーネス型墜落制止用器具を用いて行う作業に係る特別教育」が含まれる
    • 労働安全衛生法上、労働者として柱上作業を行うためには、雇用主側が同特別教育を修了させている必要がある
    • NTT通信建設工事のうち所外系作業は、2020年時点でも柱上作業が占める割合が高い
    • その他の技能講習・特別教育については、各社が独自に実施するようになっている

研修の概要・実施内容についての文書としては、情報通信エンジニアリング協会のWebサイトに、2019年度 基礎研修実施状況(pdf)というレポートがあります。