概要
NTT東西が構築・運用する通信設備は、ユニバーサルサービスの一翼を担う設備も含まれるだけあり、その規模は巨大です。年間の設備投資総額は、NTT東西それぞれで数千億円規模に上ります。それだけに、当該設備に関する工事規格の管理についても、精緻な管理体系が構築・運用されています。
当エントリでは、そんな「NTT東西における、線路設備工事規格管理の体系」について記述していきます。
総論
NTT東西発注工事の工法・工事規格に関する各種ドキュメントは、発注者たるNTT各社から発信され、ITEA1を通じて元請各社に共有されます。当該ドキュメント類は、インターネットと直接接続されていない閉域網(G-Net2)でやり取りされます。
これらドキュメント類の内容は、NTT東西各社が設定した文書閲覧権限により、NTT東西発注の電気通信工事事業に従事する者のみ閲覧可能とされています。「NTT東西の工法・工事規格の内容をネタにして、業界外で働く人と話をする」ことは、守秘義務違反となってしまうため不可能です。
工事規格に関するドキュメントの種類
標準実施方法
NTT東西発注工事の工法・工事規格に関する各種ドキュメントの中でも、最も基本的なドキュメントです。略して「SOP3」とも称されます。
標準実施方法には以下のような特徴があります。
- 1冊のドキュメントごとに固有の番号を持つ
- 改訂サイクルは数ヶ月から数年に1回
物品規格書
NTT発注工事で使用される材料および機工具類の規格書です。主に材料や機工具類の製造業者が用いるドキュメントですが、閲覧権限を付与された元請工事受注者従業員も内容を見ることができます。
物品規格書には以下のような特徴があります。
- 1冊のドキュメントごとに固有の番号を持つ
- 改訂サイクルは数ヶ月から数年に1回
工程図例集
以下のような内容に関するドキュメントです。
- 工事を行う場合、図面にどのように記載すればよいか
- 工事に対して適用される工程は何か
- 工程適用に関するポイント
工程図例集は、年0~1回、工事発注形態・工事種別ごとに発出されます。
工事発注形態 | 工事種別 |
---|---|
一般計画工事 | アクセス工事 |
サービス総合工事 | アクセス工事 |
サービス総合工事 | ユーザ工事 |
技術資料
以下のような内容に関するドキュメントです。
- 新サービスに関係する設備の概要・設計・工事・工事規格
- 新工法の概要・設計・工事・工事規格
- 既存設備・既存工法の改定に関する概要・設計・工事・工事規格
NTT東西各社の全体では、1年に数十文書が発出されます。
基本的な工程・工法に関する技術資料は、最終的には上述標準実施方法に統合されます。
設計・施工情報、およびエンジニアリング情報
NTTの東西の違いにより、この文書カテゴリの名前は異なります。
以下のような内容に関するドキュメントです。
- 新たな標準実施方法・物品規格書・技術資料の発出について
- 既存工法の細かい変更について
NTT東西各社の全体では、1年に数十文書が発出されます。