概要
NTT通信建設業界の業務遂行には、「業界内部の人でなければ何のことやらさっぱりわからない」という団体が少なからず関係してきます。
- 3JV
- 情報通信エンジニアリング協会(ITEA)
- 通信電線線材協会
- 全国通信用機器材工業協同組合(全通協)
- 電気通信協会(TTA)
この記事では、上記団体等について解説していきます。
3JV
NTT通信建設業界の内部において、「通信建設全国大手3グループの総称」を指して使われる語句です。通信建設全国大手3グループは、以下3つの企業系列を指します。
- コムシスグループ
- エクシオグループ1
- ミライトグループ
私個人としては、「3JV」という語句は、「サービス総合工事の受注単位」に由来する語句と考えています。2021年時点において、NTT東西発注のサービス総合工事は、通信建設会社が資本系列ごとに組成された共同企業体(JV)が受注単位となっています。NTT通信建設業界各社において、サービス総合工事が売上・利益に占める比率は非常に大きいので、通信建設会社全体を資本系列で区分する表現が必要となった事情もあり、自然発生的に3JVという表現が生まれた…そのような見立てです。
3JVに関する真実
NTT通信東西発注の電気通信設備工事は、3JVに属する企業以外元請受注できない仕組みとなっています。その仕組みは以下です。
また、NTT通信建設業界内部においては、「NTT東西発注の電気通信設備工事を元請受注可能な事業者の総称、特に資本系列に着目した場合の総称」として「3JV」という語句が実際に使われています。
情報通信エンジニアリング協会
法人格としては「一般社団法人 情報通信エンジニアリング協会」 です。旧称は「電信電話工事協会」でした。略称は「ITEA」です。
同協会はNTT通信建設業界の業界団体です。内実としては、「NTTグループ工事施工協力会2」に近いのではないかと思います。
ITEA会員に含まれない事業者
「通信建設業界の業界団体」と言いつつ、以下に挙げる事業者はITEA会員に含まれていません。
- 移動体通信設備工事専業各社
- 電力系通信建設工事各社
- ベンダー系通信建設工事各社
- NECネッツエスアイ、京セラコミュニケーションシステム等
このような中間組織が存在する理由と思われるもの
ITEAは、企業組織論における中間組織に分類される組織です。
中間組織の存在・存続は、相応の理由があって初めて許されるものです。私個人としては、NTT通信建設業界において中間組織の存在・存続が許される理由として、以下のような事柄があるのではないかと考えています。
- NTT東西から通信建設業界に対し、大量の工事が常日頃発注される
- NTT東西の通信設備は、ユニバーサルサービスを担う設備である
- 事業規模が大きいため、複数のプレイヤーが通信建設業界内部で存続しうる
- NTT東西の通信設備の工事は、特殊な技能・技術を必要とする
- 通信事業以外で使われないような設備・機工具等が多い
通信電線線材協会
NTTグループ発注の電気通信設備工事に材料・機工具を供給するサプライヤーにより構成される業界団体です。以下のような材料・機工具を供給するサプライヤーを会員としています。
- コンクリート構造物
- 通信ケーブル類
- コネクタ類
- 端子函類
- 配線工事に用いるモール類
- 土木設備に付帯する各種構造物
- ケーブル接続用工具類
- 高所作業車、梯子
全国通信用機器材工業協同組合
NTTグループ発注の電気通信設備工事に材料・機工具を供給する中小サプライヤーにより構成される中小企業等協同組合です。略称は「全通協」です。全通協自身も、上記通信電線線材協会の会員団体となっています。
電気通信協会
以下のような事業を行う一般社団法人です。略称は「TTA」です。
- 機関誌「電気通信」の発行
- 「NTT技術ジャーナル」の発行
- 電気通信に関する各種講演会・セミナー等の開催
- NTT各社の工事従事技術者資格認定試験の実施
以下のような理由から、同法人はNTTの外郭団体の一つと考えていいのではないかと思います。
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エクシオグループは企業系列の名称であると同時に、企業系列の頂点に位置する統括事業会社(旧名:協和エクシオ)の名称でもあります。本記事では、企業系列の名称として「エクシオグループ」の名称を用いています。↩
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施工協力会そのものについての総論は、岩松準氏によるPDF文書「施工協力会」に詳しく記述がなされています。↩