通信建設業界(NTT元請け)とは
私が現職在籍中の業界です。大雑把に言ってしまえば、情報通信エンジニアリング協会会員会社のどこか、ということになります。
私としては、情報通信エンジニアリング協会の会員会社であれば、会社は違えど内実は大同小異であろう、そう考えています。一方で、同じ通信建設業界であっても、非NTT系事業を中心として事業を行う同業他社の内実は気になるところです。非NTT系事業というのは、「新電電・電力系通信事業者を相手とする事業」「放送回線・防災無線等、非通信事業者の通信回線に関する事業」のことです。
NTTその他通信会社の発注に基づき、実際の通信インフラ構築工事の管理や監督を行うこと。それが現職業界の主たる事業です。受注・請負に立脚した業界です。顧客は特定少数の通信キャリアです。建設業界のご多分に漏れず、多重請負によるピラミッド構造が存在します。
安定はしており、終身雇用は当分安泰そうです。そう思う理由は以下の通りです。
- 顧客が規制業種である
- 特定少数の顧客を含め、業界内部における結びつきが強い
- 労働組合がそれなり以上に強い
私が思う、現職業界の問題点
体質は古く、完成された業界です。それゆえの問題点が多くあると感じています。
職場の平均年齢は高いです。人事における年功的運用が根強く残っています。また、新しい何かはしづらい雰囲気です。安定はしているのですが、キャリア相応の経験は相当意欲的でないと積めない職場だと思います。
管理職比率が高く、肩書きが乱発されています。担当部長・担当課長・課長代理・調査役などがその例です。下から見た場合に誰が上司なのかはっきりしませんし、誰が誰より上席者なのかもはっきりしません。
NTTからの天下りが、役員クラスから部長・課長クラスまでの上層部を占めています。管理職の少なからぬ割合がNTTからの天下りで、毎年少なからぬ数が初任管理職で入ってきます。プロパーが上に立つのは厳しい状況です。また、元請けから二次請けへの天下りといったものもあります。
働きやすい環境の構築に対して無頓着である気がします。オフィスレイアウトはスペース効率優先です。
事業ドメイン単位でのサイロ化も進んでいます。私の現職在籍部署は有線系の部門ですが、社内に存在するはずの無線系やIT系の部署の話を聞く機会がありません。
通信建設業界(NTT元請け)の現状
NTTを直接の取引先とする元請けは、全国大手3社を中心とした系列に収斂されており、これ以上の業界再編は望めそうにありません。というか、これ以上系列の数が減ると、独占禁止法上の問題が発生すると思います。
NTTがメタルケーブルをもはや資産と見ていない一方で、通信建設業界は未だメタルケーブルに固執しているのではないかと思います。有姿除却を行ったくらいなので、NTTがメタルケーブルをもはや資産と見ていないのは明白です。一方で、 一方で、通信建設業界サイドは未だに「メタルケーブルの更改」などといった技術提案を行っているのが実情です。
通信建設業界の収益の柱である地域通信事業について、通信建設業界はNTTの変化についていけていないのではないかと思います。NTT側の地域通信事業部門において、線路・伝送交換・宅内といった技術区分はもはや存在しないそうなのですが、通信建設業界のほうは、元請け・下請けいずれにせよ、線路・伝送交換・宅内といった技術区分でサイロ化しているのではないかと思います。
関連リンク
- 私のいた業界について【通信建設業界】 - じんせいのあれこれ - 2016年中に業界を去ったヤサカ(id:yasakasoraiken1919)氏による、通信建設業界の振り返りをテーマとしたエントリー。当人が在籍していたのは、おそらく情報通信エンジニアリング協会会員企業のどこかであろう。
- 2018年3月期 第3四半期決算について(2018年2月9日) - NTT - NTT持株会社の社長による、四半期決算報告記者会見の内容についてのプレスリリース。セグメント「地域通信事業」にて、1250億円分のメタルケーブル資産の有姿除却を行ったことを報告している。