today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

NTT通信建設業界とRPA~業界ぐるみでWinActorを売り込め~

NTT通信建設業界におけるRPAは、「業界ぐるみでWinActorを売り込め」というのが導入動機である、という話です。

NTT通信建設業界の業界構造

premium.toyokeizai.net

上記の記事は、「2018年度下期に行われたNTT通信建設業界の業界再編は、NTTの意向がはたらいたものである」という趣旨の記事となります。有料記事であるため、記事詳細は公開されていません。当該記事を購入して全文を見ましたが、記事内容から見るに、実際当該記事の記述が正鵠を得ているのは間違いないであろうと思います。そう思う理由は以下です。

  • 各社のIR資料からもわかるように、NTT通信建設業界各社の取締役・執行役員は、ほとんど全員がNTTからの転籍者である
    • さらに言えば、中間管理職も大半がNTTからの転籍者である
  • 各社のIR資料からもわかるように、NTT通信建設会社の売上は、少なくとも半分ほどはNTT工事に依存している
    • NTT通信建設会社におけるNTT工事の利益は安定的なので、利益という点では、よりNTT依存度が高い

売上や利益の多くをNTTに依存するNTT通信建設業界は、NTTに生かしてもらっている業界構造であり、NTTに逆らえない業界構造でもあるのです。

NTT通信建設業界におけるRPAの導入動機

斯様な業界構造であるNTT通信建設業界において、RPAは、そもそも業務の効率化を動機として導入されるものではありません。正直なところ、「業界ぐるみでWinActorの導入事例を作り、WinActorを売り込め」というのが導入動機なのです。

中の人目線から見ても、NTT通信建設業界においては、実際「業務の構造化」に手がつけられているように見えません。RPAを真に業務効率化につなげるためには、業務そのものをRPAに合わせて構造化することが重要であるにも関わらずです。そんな中で、上から降ってきたRPAやWinActorという言葉が独り歩きしている、それがNTT通信建設業界におけるRPAの姿なのです。

なぜWinActorか

www.rd.ntt

上述記事にあるように、WinActorの元となるツールが開発されたのは、NTTアクセスサービスシステム研究所です。NTT通信建設業界では、この研究所は「AS研」と呼ばれています。以下この記事でもAS研と呼ぶこととします。

AS研で開発される技術は、いくらかのタイムラグの後、実際にNTTの加入者線路に適用されます。NTT通信建設業界、特に加入者線路の工事に携わる部署は、AS研で開発される技術によって、今後数年~十数年の仕事の技術動向を決定づけられるのです。

www.itea.or.jp

また、NTT通信建設業界からは、業界団体である(一社)情報通信エンジニアリング協会を通じ、業界各社から継続的にAS研へ人員が送り込まれています。上記リンク先、情報通信エンジニアリング協会機関誌「Raisers」の見出しのうち、「研究開発員報告 NTTアクセスサービスシステム研究所編」というのが当該人員の記事です。人的にもNTT通信建設業界とAS研は深く関係しているのです。

NTT通信建設業界とAS研の関係。AS研とWinActorの関係。さらに言えば、NTT通信建設業界とNTTの関係。結果として、NTT通信建設業界としては、「AS研発祥のRPAツールであるWinActorを、好むと好まざるとにかかわらず、業界の総意として売り込むしかない」というのが実情なのです。