today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

さん/くんシステム考

概要

以下の記事を読んでのまとめ・感想です。

diamond.jp

さん/くんシステムとは

以下の表に記載するような呼称・敬語使用の使い分けを行なう、組織内部における呼称システムです。

自分と相手の関係性 呼称
相手が自分より年上 さん付け・敬語使用
相手が自分より年下 敬語を使わない
相手が自分より年下の男性 くん付け

さん/くんシステムの実例

Y課長「Sくん、例の件だけど、こうしてみようよ」
S部長「なるほど、Yさんはそう思うわけですね。じゃあHくんはどう?」
Hさん「そうですね、私もYさんの意見に賛成です」
年下を「呼び捨て」にする会社員は、しだいに身動きが取れなくなる | 会社人生を後悔しない40代からの仕事術 | ダイヤモンド・オンライン

以上の会話例における各人の年齢・職位序列の関係性は、上述関係性・呼称の対応表から、以下の関係性であることが見えてくるわけです。

序列を決める要素 序列
職位 S部長>Y課長>Hさん
年齢 Y課長>S部長>Hさん

さん/くんシステムが広く存在する組織

以下のような組織には、さん/くんシステムが今なお広く存在するものと考えられます。

  • 「同期カルチャー」が今なお根強く存在する組織
  • 縦の序列や、指示・命令系統がはっきり存在している組織
  • いわゆる「体育会系」と形容される組織

「同期カルチャー」というのは、従業員を入社年次ごとに十把一絡げのものとして扱うカルチャーを指します。以下のような特徴を持つ組織に強く現れる風土です。

  • 人材採用を新卒一括採用に依存している
  • 離職率中途採用数ともに低水準である
  • 大量採用を行なう大企業である

「縦の序列や、指示・命令系統がはっきり存在している組織」というのは、請負契約に依拠する業種、とりわけ重層下請構造が存在する業種に多く存在します。特に建設業1は、このような特性が強いと考えることができます。

「いわゆる体育会系」というのは、「縦の序列がはっきり存在している組織」の代表的な例ですね。

さん/くんシステムの問題点

さん/くんシステムは、「年齢(または入社年次)によって、人との付き合い方を変える」というコミュニケーション手法です。そのような手法を日常的に用いていると、以下のような問題の発生は避けられません。

  • 年齢に基づく縦の序列意識が温存されてしまう
  • 「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える」という風潮が温存されてしまう

昨今、「縦の序列意識を取り払う」という目的で、社内における「役職呼び」を明確に禁止する組織が増えてきました。しかしながら、さん/くんシステムが温存されていると、「年齢に基づく縦の序列意識」は温存されてしまいます。さん/くんシステムが温存されていると、「役職呼びの禁止」のような施策を行ったとしても、その結果は不徹底なものとなる…というわけです。

「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える2」という風潮は、概要記載の記事でも言及されているように、ダイバーシティ(自分たちと異なる考え方を受け入れる)という考え方に反するものです。「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える」という風潮が温存されている組織は、若年者が寄り付かずor離れていき、長期的に衰退・消滅に至る危険性が高いです。

さん/くんシステムを乗り越えるために

さん/くんシステムを乗り越えるために、個人レベルでできることは多くあると考えています。

  • とりあえず自分だけでも、周囲の人全員を「さん」付けで呼ぶようにする
    • 概要記載の記事にも、この対応については言及されている
    • 年齢や役職は関係ない
    • 当初感じるであろう違和感は、意識して克服する必要がある
  • とりあえず自分だけでも、周囲の人全員に敬語を使うようにする
  • 「役割の違いは役割の違い」と、意識的に割り切って考える
    • 役割の違い・世代の違いを、身分の違いと捉えてはならない
  • ダイバーシティを実現できている組織では、『全員さん付け』というスタイルが一般的であること」を認識しておく
    • 概要記載の記事にも、この対応については言及されている
    • 年齢やキャリアの序列が把握しきれないほどバラバラになっている組織では、そうせざるを得ない

  1. 建設業は、請負契約に依拠する業種であるだけではなく、「付加価値創出の段階で、危険有害業務の発生が避けられない」「下請事業者の管理監督も含め、安全衛生の確保に関する義務・責任の多くを元請事業者が負う法制度が確立している」等の特徴があります。

  2. 個人的には、「相手の年齢・職位・ジェンダーなどに応じて付き合い方を変える」という問題は、「中高年向けメディアで顕著に現れる、女性を性的対象としてしか見ない風潮」にも通じる問題ではないかと考えています。

「受発注の関係性」とは

概要

昨今、ビジネスの現場において、以下のようなテーマに言及される機会が増えているように感じます。

  • 事業者間の関係性について、受発注の関係性を脱し、協働・共創の関係性を築き上げるための方法論
  • 社内で受発注の関係性が発生していることに起因する諸問題

しかしながら、「受発注の関係性」という語句の意味に関する文献は、様々なリソースに散らばっています。「受発注の関係性」に関する考え方について、個人的に1箇所にまとめて記述する必要性を感じたので、この記事を書くに至った次第です。

受発注の関係性とは

私個人としては、以下の関係性を指すと解釈しています。

発注者が受注者に対し、自らの仕事の一部を委任するという契約に基づいて成立する関係性

プリンシパル=エージェント関係

以下2つの当事者によって成立する関係性を指します。

受発注の関係性は、「発注者をプリンシパル・受注者をエージェントとしたプリンシパル=エージェント関係」という側面が強く現れがちな関係性です。

プリンシパル=エージェント関係とは何か」については、以下の記事で簡単な説明がされています。

imidas.jp

請負契約の本質

請負契約は、以下2つの義務を根底とする契約といえます。

  • 当事者の一方(受注者)が、相手方(発注者)に対し、ある仕事を完成することを約束する
  • 発注者は、当該仕事の完成に対し、受注者に反対報酬を支払うことを約束する

請負契約に立脚する関係性は、「ステレオタイプ的な受発注の関係性になりやすい関係性」でしょう。

受発注の関係性のもとでは何が発生するか

発注者は以下のような考えを持つでしょう。

  • 「受注者が完成を約束した仕事の進捗を監視すること」を自らの責務であると考える
  • 「仕事」の範囲をできる限り広く解釈しようとする

一方で、受注者は以下のような考えを持つでしょう。

  • 「発注者に対し、約束した仕事の完成を認めてもらうこと」を目的として行動する
  • 「仕事」の範囲をできる限り狭く解釈しようとする

全体としては、以下のような事態が発生する危険性が高いです。

  • 発注者と受注者
  • 発注者が優越的地位を得る
  • エージェンシー・スラックが表面化する
    • 発注者と受注者の利害対立、またはそれに伴う軋轢

受発注の関係性の問題点

発注者による優越的地位の濫用

特に日本においては、受発注の関係性は、「発注者が優越的地位を得る」という関係性になりがちです。発注者が受注者に対して優越的地位を得た場合、往々にして「発注者が受注者に対する優越的地位を濫用する」という構図が発生します。「発注者による優越的地位の濫用」は、以下の事態の発生につながります。

  • 関係性の内実が、「受注者が発注者に対し一方的に責務を負う」という内実に変質する事態
  • 発注者が契約で定められた義務すら覆そうとする事態

受注側が必要最小限の行動しか行わなくなる

プリンシパル=エージェント関係におけるエージェントとしての受注者は、プリンシパルたる発注者の利益を最大化する責務を負っている一方、経済社会の一主体として自らの利益を追求する立場にあります。受発注の関係性において、受注者が発注者の利益を最大化する責務を負う範囲は、受発注の内容を定めた契約の範囲にとどまります。このような関係性において、「受注側が契約の範囲を超えて発注者の利益を最大化しようとする」という行動は、受注者自身の利益を損ねる事態になってしまいます。結果、受注側が必要最小限の行動しか行わなくなるわけです。

「協働」「共に新たな価値を作る」という考え方の不在

「発注者は仕事の範囲をできる限り広く解釈しようと考え、受注者は仕事の範囲をできる限り狭く解釈しようと考える」という図式が成立する環境のもとでは、発注者と受注者の間には、仕事の範囲をめぐる対立関係が発生します。仕事の範囲をめぐる対立関係が存在する環境下では、仮にメンバー個人が「協働」「共に新たな価値を作る」という考えを持っていたとしても、そのような考えは仕事の範囲をめぐる対立関係に埋没してしまうものです。

責任分界点に対し、異常なほど敏感になりがちである

仕事の範囲をめぐる対立は、「責任分界点に対する異常なほどの敏感さ」にもつながってきます。具体的には、以下のような事態の発生につながります。

  • 言い出しっぺの法則…言い出した側が責任を負うことになる
  • 「何を言ったか」より「誰が言ったか」が重んじられる
  • 責任を負いたくないあまり、「リスクを認識していても言わない」という行動が正当化されがちである

相互不可侵とされる領域が発生する

日本における「受発注の関係性」は、一般に「受発注者相互間における信義則の存在」を前提とするものです。「受発注者相互間における信義則の存在」は、「発注者と受注者の双方とも、契約上の権利義務の詳細まで立ち入るべきではない」という考え方を生みます。「契約上の権利義務の詳細まで立ち入らない」という考え方が暴走すると、相互不可侵とされる領域が発生するわけです。

相互不可侵とされる領域の発生は、以下のような問題の原因となります。

  • 関係性外部から見て、契約の実態が不透明になる
  • 優越的地位の濫用等、一方的な権利義務関係の存在が覆い隠されてしまう

関係性の外側が軽視される

「発注者と受注者が、お互いに相手側の当事者しか見えていない」という関係性の中では、以下のような事柄は軽視されがちになります。

  • 関係性の外側に及ぼす影響
  • その仕事を完成させることによってもたらされる社会的便益
  • その仕事を完成させた後、継続的に発生する責任やコスト

NTT通信建設業界における、NTT以外の発注による工事の扱い

概要

NTT通信建設業界に属する各企業の売上は、NTT発注工事のみで少なくとも50%前後を占めます。一方で、「NTT通信建設業界に属する企業がNTT以外の事業者が発注する工事を受注する」というケースも当然出てきます。そうした「NTT以外の事業者が発注する工事」に関して、NTT通信建設業界には以下のような業界特有の語句が使われます。

  • キャリアビジネス
  • 民需工事

当エントリでは、上記2つの語句について解説していきます。

キャリアビジネス

NTT通信建設業界においては、「NTTグループ以外の電気通信事業者1が発注する電気通信設備工事に関する事業」を指します。

キャリアビジネスとNTT発注通信設備工事は、工事種別としては「電気通信設備工事」で共通である一方、以下のような相違点があります。

  • キャリアビジネスには、全国大手3グループ以外の元請受注事業者2が存在する
  • NTT発注の通信設備工事に比べ、全体の市場規模が小さい
  • NTT発注の通信設備工事に比べ、発注者別の市場規模が小さい

民需工事

NTT通信建設業界においては、以下のような概念を指します。

文脈により、「民需工事」という言葉が何を指すかは異なる場合があります。具体的には、以下のような要素が文脈依存となる要素です。

民需工事」という表現は、「通信建設全国大手3グループが、その事業運営をNTTに強く依存している事実」を体現しているとも解釈できる表現です。特に「NTTグループ発注の電気通信設備工事」の対置概念として「民需工事」の語を用いた場合、そのような特徴は顕著に現れます。


  1. KDDIソフトバンク等、かつて新電電(NCC)と呼ばれた固定通信事業者」「NTTドコモ以外の移動体通信事業者」などを指します。

  2. NTT東西発注の通信設備工事は、「電気通信設備請負工事競争参加資格」の存在により、全国大手3グループに属する通信建設会社以外の事業者が元請受注できないようになっています。

Gitにおけるデータ管理の仕組み備忘録

Gitはデータをスナップショットとして保存する

  • 変更されたファイルの内容全体を保存する
  • 前のデータとの差分を保存しているわけではない

スナップショットを保存することのメリット

  • 頻繁に行われる基本的な操作が劇的に高速化する
    • 変更同士で差分を取る操作
    • 変更をマージする操作
    • ブランチに関する操作
      • 新規にブランチを切る操作
      • ブランチを切り替える操作
  • 堅牢なデータ管理が実現できる
    • コミット同士が疎結合になる
    • 「前のコミットの内容がないと、あるコミットの内容を復元できない」という事態が発生しない

スナップショットを保存することのデメリット

  • 巨大なファイルを扱う場合、リポジトリが肥大化しやすい
    • 特に圧縮済みバイナリファイルの管理には全く向かない

Gitリポジトリを構成する要素

blob

  • 管理対象ファイルの内容そのものを指す実体
  • git addコマンドの実行により、リポジトリ上に生成される
  • 生の内容そのものではなく、圧縮された上で保管される
    • 既に圧縮済みのバイナリファイルを管理対象とした場合、みるみるうちにリポジトリが肥大化していく
  • blobにはファイル名の情報は含まれない

tree

  • ディレクトリ構造全体のうち、変更が加えられた部分のスナップショットを表す実体
    • 一つのtreeの構成要素
      • ファイル名と対応するblobの組
      • サブディレクトリ名と対応するtreeの組
    • 変更が加えられていない部分を取得するためには、前のスナップショットを順次参照していく
  • git commitコマンドの実行により、リポジトリ上に生成される
    • その内容は、git addコマンドによりステージングエリアに生成されたindexの内容に基づいて定義される
  • 有効なtreeの条件
    • 有効なtreeは、blobまたは別のtreeを1つ以上参照していなければならない
    • treeチェーンがループすることはありえない
    • treeチェーンの末端にはblobが必要となる
  • 「空ディレクトリ」はGitでは管理できない
    • 上記の条件から導かれる

commit

  • コミットそのものの情報を表す実体
    • 誰がコミットしたか
    • いつコミットしたか
    • 1つ前のコミット
      • イニシャルコミットに1つ前のコミットは存在しない
      • 通常のコミットの場合、1つ前のコミットは1つのみ存在する
      • マージコミットの場合、1つ前のコミットは2つ以上存在する
    • コミットメッセージ
  • git commitコマンドの実行により、treeと同時にリポジトリ上に生成される
  • branchやtagは、それぞれ1つのcommitに紐づけされる
    • branchであっても、枝全体を指すわけではない
    • branchが指すcommitはあとから変更することができる
    • tagが指すcommitをあとから変更することはできない

ローカルマシンにおける、Gitに関する実体

ローカルリポジトリ

  • 管理対象文書群のスナップショットそのものを記録していく領域
  • 上記blob、tree、commitを主な内容とする
  • branchやHEADもローカルリポジトリを構成する主体である

ステージングエリア

  • ひとまとめとしてコミット処理を行いたい一連の変更をひとまとめにするための領域
index
  • ステージングエリアに存在する実体
  • 「ファイルパスと対応するblobの組」をひとまとめにしたもの
  • git commitを行うと、indexの内容から新たなtree群がローカルリポジトリに記録される

ワークスペース

  • 実際にファイルの編集作業が行われる領域
  • git add時の処理

企業内部における擬制的親子関係について考えてみた

擬制的親子関係とは

kotobank.jp

「実の親子以外の者同士が双方合意の上で有する、互いに実の親子であるかのような一定の役割関係」を指す語句です。

擬制的親子関係という習慣は、洋の東西問わず見られる習慣です。例えば以下のような関係は、擬制的親子関係の一種と言えるでしょう。

  • 日本における「烏帽子親制度」「仮親/猶子制度」
  • カトリック圏における「代父・代母/洗礼を受ける子どもの関係」

擬制的親子関係の当事者の間には、一般に「義理と人情を伴った庇護・奉仕」の関係が存在します。

企業社会における擬制的親子関係

日本における伝統的終身雇用慣習には、雇用主と被雇用者との間に、擬制的親子関係が存在すると言えるのではないかと思います。具体的な庇護・奉仕関係の内容は、以下の制度・慣習の存在が一例と言えます。

  • 雇用主が被雇用者に提供する庇護
    • 定年までの終身雇用
    • ステレオタイプ的なライフスタイルに応じ、各時点で必要となる費用を反映した給与の支給(生活給)
  • 被雇用者が雇用主に提供する奉仕
    • キャリアプランや働き方の雇用主への一任
    • 特に若年期における、自らの人材価値に対して低い報酬での労働

私個人としては、「日本においては、雇用以外にも、『発注/受注』『請負』という事業者間の関係性にも擬制的親子関係が存在する」と考えています。具体的には、「以下のような慣習に擬制的親子関係が現れている」という考えです。

  • 専属下請
  • 発注者主導による、専属性の高い受注者の組織化(協力会組織)
  • 発注者から受注者への、正当性のある説明が不可能な天下り

企業社会における擬制的親子関係の問題

企業社会における擬制的親子関係には、以下のような問題があると考えています。

  • 組織形態がヒエラルキー型にならざるを得なくなる
    • 「仮親」を頂点、「猶子」を底辺とするピラミッド型構造
  • 「猶子」と位置付けられた事業者・個人が自主性を失う
    • 性悪説的・パターナリスティックな従業員統制
    • 事業体質的にも「子ども」を脱することができなくなる
    • 従業員のマインドセットも「子ども」のそれとなる
  • 「仮親」と位置付けられた事業者において、従業員以外のステークホルダーの利益を毀損する施策が正当化される
  • 擬制的親子関係に生きる事業者・個人は、「成人同士の関係」を築くのが困難になる
    • 事業者・個人同士の関係性を、「主君と家来」のような関係性でしか見れない
    • 擬制的親子関係に生きる事業者・個人に対しては、擬制的親子関係に生きていない事業者が寄り付かなくなる
    • 所属企業で擬制的親子関係に生きてきた個人は、退職後に社会に適応できずに苦しむことになる

「企業社会における擬制的親子関係」というのは、戦後復興期~高度経済成長期~バブル期の日本において、「日本社会の勝ちパターン」として作用してきたのは確かです。しかしながら、「豊かな社会が実現し、右肩上がりの成長が見込めなくなり、量より質を提供することが求められる」という現状においては、「擬制的親子関係の存在が、社会が求める質の提供に対して足かせとなっている」のではないかと思います。

NTT通信建設業界に関する団体等

概要

NTT通信建設業界の業務遂行には、「業界内部の人でなければ何のことやらさっぱりわからない」という団体が少なからず関係してきます。

  • 3JV
  • 情報通信エンジニアリング協会(ITEA)
  • 通信電線線材協会
  • 全国通信用機器材工業協同組合(全通協)
  • 電気通信協会(TTA)

この記事では、上記団体等について解説していきます。

3JV

NTT通信建設業界の内部において、「通信建設全国大手3グループの総称」を指して使われる語句です。通信建設全国大手3グループは、以下3つの企業系列を指します。

  • コムシスグループ
  • エクシオグループ
  • ミライトグループ

私個人としては、「3JV」という語句は、「サービス総合工事の受注単位」に由来する語句と考えています。2021年時点において、NTT東西発注のサービス総合工事は、通信建設会社が資本系列ごとに組成された共同企業体(JV)が受注単位となっています。NTT通信建設業界各社において、サービス総合工事が売上・利益に占める比率は非常に大きいので、通信建設会社全体を資本系列で区分する表現が必要となった事情もあり、自然発生的に3JVという表現が生まれた…そのような見立てです。

rapidliner0.hatenablog.com

3JVに関する真実

NTT通信東西発注の電気通信設備工事は、3JVに属する企業以外元請受注できない仕組みとなっています。その仕組みは以下です。

  • NTT東西発注の電気通信設備工事は、各社の「電気通信設備請負工事競争参加資格」を有する事業者以外元請受注できない
  • 同資格を有する事業者が、3JVに属する事業者以外に存在しない

また、NTT通信建設業界内部においては、「NTT東西発注の電気通信設備工事を元請受注可能な事業者の総称、特に資本系列に着目した場合の総称」として「3JV」という語句が実際に使われています。

情報通信エンジニアリング協会

www.itea.or.jp

法人格としては「一般社団法人 情報通信エンジニアリング協会」 です。旧称は「電信電話工事協会」でした。略称は「ITEA」です。

同協会はNTT通信建設業界の業界団体です。内実としては、「NTTグループ工事施工協力会1」に近いのではないかと思います。

ITEA会員に含まれない事業者

「通信建設業界の業界団体」と言いつつ、以下に挙げる事業者はITEA会員に含まれていません。

このような中間組織が存在する理由と思われるもの

ITEAは、企業組織論における中間組織に分類される組織です。

kotobank.jp

間組織の存在・存続は、相応の理由があって初めて許されるものです。私個人としては、NTT通信建設業界において中間組織の存在・存続が許される理由として、以下のような事柄があるのではないかと考えています。

  • NTT東西から通信建設業界に対し、大量の工事が常日頃発注される
    • NTT東西の通信設備は、ユニバーサルサービスを担う設備である
    • 事業規模が大きいため、複数のプレイヤーが通信建設業界内部で存続しうる
  • NTT東西の通信設備の工事は、特殊な技能・技術を必要とする
    • 通信事業以外で使われないような設備・機工具等が多い

通信電線線材協会

www.senzai-kyokai.jp

NTTグループ発注の電気通信設備工事に材料・機工具を供給するサプライヤーにより構成される業界団体です。以下のような材料・機工具を供給するサプライヤーを会員としています。

  • コンクリート構造物
  • 通信ケーブル類
  • コネクタ類
  • 端子函類
  • 配線工事に用いるモール類
  • 土木設備に付帯する各種構造物
  • ケーブル接続用工具類
  • 高所作業車、梯子

全国通信用機器材工業協同組合

www.zentsukyo.or.jp

NTTグループ発注の電気通信設備工事に材料・機工具を供給する中小サプライヤーにより構成される中小企業等協同組合です。略称は「全通協」です。全通協自身も、上記通信電線線材協会の会員団体となっています。

電気通信協会

www.tta.or.jp

以下のような事業を行う一般社団法人です。略称は「TTA」です。

  • 機関誌「電気通信」の発行
  • 「NTT技術ジャーナル」の発行
  • 電気通信に関する各種講演会・セミナー等の開催
  • NTT各社の工事従事技術者資格認定試験の実施

以下のような理由から、同法人はNTTの外郭団体の一つと考えていいのではないかと思います。

  • 2021年4時点の同協会会長は、2012年~2018年にNTT東日本の社長であった人物である
  • 他の常勤役員2名も、NTTグループの主要事業会社で代表取締役を務めた人物である

  1. 施工協力会そのものについての総論は、岩松準氏によるPDF文書「施工協力会」に詳しく記述がなされています。

NTT東西における、線路設備工事規格管理の体系

概要

NTT東西が構築・運用する通信設備は、ユニバーサルサービスの一翼を担う設備も含まれるだけあり、その規模は巨大です。年間の設備投資総額は、NTT東西それぞれで数千億円規模に上ります。それだけに、当該設備に関する工事規格の管理についても、精緻な管理体系が構築・運用されています。

当エントリでは、そんな「NTT東西における、線路設備工事規格管理の体系」について記述していきます。

総論

NTT東西発注工事の工法・工事規格に関する各種ドキュメントは、発注者たるNTT各社から発信され、ITEA1を通じて元請各社に共有されます。当該ドキュメント類は、インターネットと直接接続されていない閉域網(G-Net2)でやり取りされます。

これらドキュメント類の内容は、NTT東西各社が設定した文書閲覧権限により、NTT東西発注の電気通信工事事業に従事する者のみ閲覧可能とされています。「NTT東西の工法・工事規格の内容をネタにして、業界外で働く人と話をする」ことは、守秘義務違反となってしまうため不可能です。

工事規格に関するドキュメントの種類

標準実施方法

NTT東西発注工事の工法・工事規格に関する各種ドキュメントの中でも、最も基本的なドキュメントです。略して「SOP3」とも称されます。

標準実施方法には以下のような特徴があります。

  • 1冊のドキュメントごとに固有の番号を持つ
  • 改訂サイクルは数ヶ月から数年に1回

物品規格書

NTT発注工事で使用される材料および機工具類の規格書です。主に材料や機工具類の製造業者が用いるドキュメントですが、閲覧権限を付与された元請工事受注者従業員も内容を見ることができます。

物品規格書には以下のような特徴があります。

  • 1冊のドキュメントごとに固有の番号を持つ
  • 改訂サイクルは数ヶ月から数年に1回

工程図例集

以下のような内容に関するドキュメントです。

  • 工事を行う場合、図面にどのように記載すればよいか
  • 工事に対して適用される工程は何か
  • 工程適用に関するポイント

工程図例集は、年0~1回、工事発注形態・工事種別ごとに発出されます。

工事発注形態 工事種別
一般計画工事 アクセス工事
サービス総合工事 アクセス工事
サービス総合工事 ユーザ工事

rapidliner0.hatenablog.com

技術資料

以下のような内容に関するドキュメントです。

  • 新サービスに関係する設備の概要・設計・工事・工事規格
  • 新工法の概要・設計・工事・工事規格
  • 既存設備・既存工法の改定に関する概要・設計・工事・工事規格

NTT東西各社の全体では、1年に数十文書が発出されます。

基本的な工程・工法に関する技術資料は、最終的には上述標準実施方法に統合されます。

設計・施工情報、およびエンジニアリング情報

NTTの東西の違いにより、この文書カテゴリの名前は異なります。

以下のような内容に関するドキュメントです。

  • 新たな標準実施方法・物品規格書・技術資料の発出について
  • 既存工法の細かい変更について

NTT東西各社の全体では、1年に数十文書が発出されます。


  1. 「一般社団法人 情報通信エンジニアリング協会」の略称です。NTT東西発注工事を元請受注する事業者により構成される業界団体です。

  2. NTTコムウェアにより構築・運営されている、NTTグループ企業向けのイントラネットです。NTT東西発注工事を元請受注する事業者の従業員に対しても、工事を進める上で必要な範囲についての閲覧権限が付与されます。

  3. 読み方は「ソップ」です。英語の「Standard Operating Procedures」の略です。