today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

【まとめ】#ssmjp 2019年8月#2…大規模カンファレンスの現場にて - PHPカンファレンス日本

PHPカンファレンス日本とは

以下が公式Webサイトです。 phpcon.php.gr.jp

日本のPHPカンファレンスのカンファレンスとしての歴史は、実は英語圏より古いのだそうです。PHPカンファレンス日本が初めて開催されたのが2000年、英語圏PHPカンファレンスが初めて開催されたのが2001年なのだとか。このことを、ちょうどその頃に盛んに活用されていたCGI/Perl素材サイトであるKENT WEBの思い出とともに話されていました。

事務局法人

PyConJPの事務局組織が一般社団法人形態の独立組織である一方、PHPカンファレンス日本の事務局組織はスポンサー企業内に置かれています。外部のステークホルダーPHPカンファレンス日本の事務局と契約等する場合、PHPカンファレンス側の契約当事者はスポンサー企業となります。

独立した法人を作るにせよ、スポンサー企業内に設置するにせよ、事務局が法人組織を持つことには相応の必要性1があります。具体的には以下のような必要性です。

  • 外部の企業と取引するため
  • 事務局としての銀行口座を持つため
  • 資産の所在を明確化するため

運営に使用するソフトウェア

ビジネスチャットツールであるSlack、オンラインストレージサービスのGoogle Driveは、IT関連分野であれば詳細な技術分野は問わず広く使われているツールです。

Forteeは、特にPHP界隈のカンファレンスで広く使われているカンファレンス支援プラットフォームです。例えば、以下のようなカンファレンスがForteeを使用しています。

参加者管理

基本的に参加者管理は行わないことを前提にしているそうです。その理由としては、主に「対象となる人数が多すぎるため」というのが挙げられていました。特にお金が絡まない場合、参加者管理は行わないとしているのだそうです。

一方、例外的に参加者管理を行うとしているケースについても言及されていました。具体的には以下のケースです。

  • 安全が絡む場合
  • お金が絡む場合

安全が絡む場合の参加者管理

「安全が絡む場合の参加者管理」の実例としては、具体的には以下のケースが挙げられていました。

  • 消防法定員に絡む場合
  • 一度に大量の人が動く場合
  • 非常時対応の習得

「消防法定員」というのは、「災害発生時、消防法が期待する水準の避難を支障なく行うことが可能な最大数」という意味合いを持った数字です。建物単位や個別会議室単位で定められます。施設利用者の安全に関わるというその性質上、この数字は厳守されなければなりません。ゆえに、PHPカンファレンスにおいても、特に小会議室でのセッションにおいては、定員管理としての参加者管理を行っているのだそうです。

カンファレンスが進んでいく中では、「人気になることが予想されるセッションの終了時」等、一度に大量の人が同じ動きをする場面も当然に発生します。こうした動きが無秩序に行われてしまうと、群集事故の危険は高まります。特に動線途中に階段などの障害物がある場合は尚更です。ゆえに、PHPカンファレンスにおいても、一度に大量の人が動く場面においては、主に動線管理としての参加者管理を行っているのだそうです。

「安全を確保する」という目的の上では、「万が一事故が発生してしまった場合に、災害を発生させない、あるいは災害が発生してしまってもその規模を最小限にとどめる」というのは重要です。「消火器・消火栓等の使い方の習得」「AEDの使い方の習得、救命救急法の習得」などといった取り組みが実際に行われているとのことでした2

お金が絡む場合の参加者管理

「お金が絡む場合の参加者管理」の実例としては、具体的には以下のケースが挙げられていました。

  • 懇親会
  • 書店連動企画
  • (間接的に)スポンサー特典

ある意味でカンファレンスの華である懇親会。「飲み物の購入量」「ケータリング業者への発注量」などといった形でお金が絡むことが避けられないイベントです。

大規模なカンファレンスだと、市中書店(場合によって出版社も)との連動企画が組まれる場合もあるそうです。ソフトウェア会社のみならず、書店もまたビジネスとしての事業を行う主体であり、適切なインカムが得られることを期待してカンファレンスに参加してくる事業主体です。市中書店との連動企画を行うカンファレンス主催側としても、市中書店側に適切なインカムを提供することは重要なミッションの一つといえます。他のスポンサーもまたしかりです。

スタッフ人数

理想は参加者10人にスタッフ1人、現時点での現実は参加者20人にスタッフ1人なのだとか。「スタッフの数は常に足りてないので、スタッフは常時募集中です!」となるのも、数字的根拠をもって語られると説得力があります。

その他

実は、WordPressPHPで書かれているのだそうです。

また、「音声によるやり取りが重要になる場面もある。スタッフ同士の連絡手段として、携帯無線機も必要。」という話がなされていました。特に登壇が絡む場面においては、「発表者以上にスタッフが目立ってしまうため、発表者の前で端末のバックライトはつけられない」という問題があるのだそうです。「会場の性質3上、一般の無線機ではカバーしきれない部分も存在する。できればLTE無線機を全スタッフに配備したい。しかし現状では、LTE無線機は全スタッフに配備するには高価すぎる」という悩みもがあるのだとか。


  1. 有限会社コミケットコミックマーケット準備会の事務局機能)、株式会社ユウメディア(スタジオYOU)、有限会社ケイ・コーポレーション(赤ブーブー通信社・青ブーブー通信社)等、大規模あるいは多数の同人誌即売会を開催する主体が事務局機能を法人化するケースは少なからず存在します。一方で、相応に大規模な同人誌即売会であっても、事務局法人を持たない個人主催の形態である場合も少なからず存在します(振込先の銀行口座が個人名義だったり)。

  2. 昨今では、特に人が関係する場合、「スタッフの安心を確保するため、法的知識の教育訓練を行う」ということも必要になりそうな風潮があると思います。「初動救命救急のための行動が痴漢行為にあたらないことの法的裏付け」とか、「救命救急が必要になった側の人の気持ち(例えば異性に身体を触られるのは、多くの人にとってやはり気分がいいものではないだろう)も考えた初動救命救急のあり方」とか。

  3. PHPカンファレンスが現在使っている会場は、大田区産業プラザPiO全館です。地上6階地下1階からなる会場で、決して狭くはありません。