today::エンジニアに憧れる非エンジニア

今のところは、エンジニアとは言えないところの職種です。しかしエンジニア的なものの考え方に興味津津。

NGNやめました

そもそもNGNとは

世界的には、「インターネット技術に基づいて構築される、従来の公衆交換電話網を置き換えるための新たな電話網」を指します。 日本国内におけるNGNは、「NTT東西により構築された、公衆交換電話網および地域IP網を置き換えるための新たな電話網」を指します。

NGNやめました」とはどういうことか

フレッツ光を解約し、auひかりに乗り換えた」ということです。

NTT東西のフレッツ光は、「NGN経由でインターネットに接続する」方式のインターネット接続サービスです。 一方のauひかりは、「NGNを経由せずにインターネットに接続する」方式のインターネット接続サービスです。

なぜNGNをやめたのか

NGN経由でインターネットに接続する」というのが、あまりにも複雑な仕組みに感じ、個人的に違和感を覚えたためです。

NGNの複雑さ

NGNというのは、「IPネットワーク」という観点から見ると、「巨大なIPv6閉域網1」とでもいうべき構成になります。 しかも、「グローバルユニキャストアドレス2を端末に割り当てる閉域網」という構成です。 このような構成は、v6インターネットの仕様策定において想定されていない構成でした。

結果、以下の諸問題が発生することとなりました。

NGNの複雑さに起因する諸問題

前述のようなNGNの複雑さゆえに、IPv6の普及段階においては、以下のような問題が発生しました。

  • IPv6マルチプレフィックス問題
    • 1つの端末にv6インターネット用のIPv6アドレスとNGN用のIPv6アドレスが並存することに起因する諸問題
  • IPv6-IPv4フォールバック問題
    • NGN用のIPv6アドレスしか有さない端末がv6インターネットにアクセスしようとすることに起因する諸問題

xtech.nikkei.com

www.jpne.co.jp

上述諸問題の解決策

上述諸問題を克服し、NGNからv6インターネットに接続するためには、以下の2つの方法が用意されています。

IPv6 PPPoE方式」は、NGN以前に使われていた「地域IP網を経由したインターネット接続」の方式をNGNに適用したものです。 一方の「IPv6 IPoE方式」は、「v6インターネット接続に必要なIPv6アドレスを、直接NGNから割り当てる」という方式です。

www.nttpc.co.jp

NGNを経由する光インターネット接続サービス

以下の光インターネットサービスは、NGNを経由する光インターネットサービスです。

NGNを経由しない光インターネット接続サービス

一方で、「NGNを経由しない光インターネット接続サービス」というのも存在します。 「NGNを経由しない光インターネット接続サービス」の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • NTTからダークファイバーの貸し出しを受けて提供される光インターネット接続サービス
  • 独自の光ファイバー網により提供される光インターネット接続サービス
    • auひかりの一部
    • 電力系通信事業者の光インターネット接続サービス
    • ケーブルテレビ事業者の回線を用いる光インターネット接続サービス
      • ドコモ光 タイプC
      • ケーブルプラス光

これらの光インターネット接続サービスでは、そもそもNGNを経由しないため、上述「NGNの複雑さに起因する諸問題」も発生しません。 私が新たに契約したのは「auひかり」でした。私の住んでいる場所で使用できるのが「auひかり」のみであった3ためです。


  1. NTT法の制約により、NTT東西は国外との通信業務が制限されているため、NGNを直接v6インターネットに接続することはできません。

  2. インターネット上で一意なアドレスとして使われるIPv6アドレスを指します。

  3. 現在住んでいる物件において、NURO光は導入エリア内でしたが非対応物件でした。電力系通信事業者の光インターネット接続サービスは、東京在住なので提供されていません。

何となく違和感のある、職場の慣習あれこれ

前書き

現職の職場では、私から見て「何か違和感がある」と思うような言動が時折見受けられます。それについて書いていきます。

新卒入社から年次が浅い社員を「1年生」「2年生」などと呼ぶ

新入社員だとしても、相手は社会人です。学生ではありません。 それを「1年生」「2年生」などと呼ぶのは、私からすると、相手を子供扱いないしは学生扱いしているように思えてなりません。 社会人であるはずの相手に対し、学生であるかのような呼び方をする… そのようなことをしていると、相手も「甘えが許される」「学生として振る舞う」。私としては、そう思えてならないのです。

もっとも、NTT通信工事元請企業の加入者線路工事を仕事とする場合、そのような振る舞いになるのも致し方ないと思える事情はあります。 「入社3年目くらいまでは現場作業員として現場経験を積む」というのが基本的なキャリアパスとなっている、という事情です。

NTT通信工事に限らず、建設の現場作業というのは筋金入りの技能職です。 経験の浅い技能職の場合、「まず仕事に必要な技能を習得させる」という観点から、「相手が社会人であっても、相手が学生であるかのようにものを教える」というのは普通にあるものです。

新卒入社から年次が浅い社員を「○○年目の子」と呼ぶ

「子」と呼ぶのに違和感があります。上記「○年生」と同様、相手を子供扱いしているように思えてならないのです。

社内ポータルサイトのプラットフォームが、2012年からアップデートされていない

2012年から2020年の間でも、Webを取り巻く技術動向は大きく変化しています。 具体的な変化としては、例えば以下の様な事柄を挙げることができます。

「社内システムと従業員をつなぐためのプラットフォームとして、2012年当時のテクノロジーを使い続ける」というのは、「社員に進取性を求めてはいない」というメッセージだと受け取ることもできてしまいます。 …実際、現職企業の事業ドメインは「通信インフラの安定稼働」が最も求められるものなので、気風が保守的になることは否定できませんが。

部長クラスの管理職が、業務として長電話をしている

今どき「電話駆動の業務」というのは、コールセンター等の「電話応対そのものを主たる業務とする仕事」以外では駆逐されるべきものではないでしょうか。 そう考える理由は、例えば以下です。

  • 口頭でのやり取りだと、どうしても「言った、言わない」という争いが避けられない
  • 相当に注意を払わない限り、情報のやり取りが閉鎖的になる
    • 「より広い範囲で共有されるべき事柄が、当事者間のみでしか共有されない」という事態の発生
    • 「都合の悪い情報は隠すことができる」という考え方の一般化
  • 同期型のコミュニケーション手段そのものが、受け手側の都合を考えないコミュニケーション手段である
    • 業務で長電話をする側には、「受け手の時間を一方的に奪う」という事実への配慮はあるのだろうか

特に事業部門トップクラスの管理職がこのような長電話をしていると、それが「部署の気風」となってしまう恐れすらあります。 「業務において長電話は許される」という考え方が拡散することは、特に若手社員の未来にとって害悪となるのではないでしょうか。

「担当部長」「担当課長」「課長代理」「調査役」といった呼称が存在する

これらは「権限や職責とリンクしない、単に処遇上の称号」です。 このような称号の存在は、以下のような理由で事業運営に悪影響を及ぼしうるものです。

  • 外から見て、「本当に権限があるのが誰か」というのがわからない
  • 内から見て、誰が誰の本当の上司なのかわからない
  • 従業員に「管理職が飽和している」というのを感じさせてしまう
    • 特に若手社員が会社に幻滅・絶望する

このあたりの問題については、ダイヤモンド・オンラインの以下の記事でも言及されています。

diamond.jp

民間において多分最後まで転勤がなくならないであろう仕事、それは「全国展開の建設業の施工管理職」

前書き

「転勤」というものに対する世の中の考え方の変化が進んでいます。 「転勤は人権侵害」「制度としての転勤を原則廃止」といった考え方も、NHKでも以下のような特集が組まれる程度には定着してきました。

www3.nhk.or.jp

www.nhk.or.jp

しかしながら、職務の性質上、どうしても転勤がなくならないであろう仕事も存在します。 その典型的なものの一つが「全国展開の建設業の施工管理職」です。 私は、「民間セクターにおいて、最後まで転勤がなくならないのはこの職種であろう」と考えています。

全国展開の建設業の施工管理職は、なぜ転勤がなくならないのか。この記事で書いていきます。

一つ一つの仕事が、本質的に「終わりがある」ものである

建設業というのは、典型的な請負型産業です。 「請負」というのは、「仕事を完成させることによって対価を得る」という役務提供契約です。 なので、建設業において収益を得るための仕事一つ一つは、本質的に「終わりがある」性格の仕事である…ということになります。

どこで案件が発生するかわからず、案件ごとに現地に人を送り込まなければならない

建設業というのは、受注産業かつ移動型産業です。

受注産業というのは、「他者による発注がなければ仕事ができない」という性質があります。 しかも、発注動向は常に一定というわけではなく、発生地域・発生量ともに時々刻々変化していくものです。

一方の移動型産業というのは、「現地でなければ仕事を進めることができない」ということを意味します。 現場で直接作業にあたる人員、プロジェクト管理を行う人員、いずれも現地に行かなければなりません。

前述「本質的に『終わりがある仕事』」も含め、以上のような性質により、全国展開の建設業の施工管理職は、どうしても「竣工ごとに勤務地ガチャ」となるのが避けられません。

結語

以下のような理由により、「現場で直接作業にあたる人員」を指して「若者の建設業離れ」とよく言及されるのが今のご時世です。

  • 休日の少なさ
  • 業務の危険有害性に見合わない低待遇

一方で、管理側においても「若者の建設業離れ」が進んでいます。その理由としてよく指摘されるのは以下です。

「管理側における若者の建設業離れ」というのは、上記に加えて、「全国展開している企業の場合、職務の性質上、転勤が避けられない」というのも大きな理由の一つであろうと思います。

現在進行で進み続ける「若者が考える理想のライフスタイル」と「建設業の事業性質」との乖離。 その帰結としての「若者の建設業離れ」という流れ。もう止まることはないのでしょうか。

NTT通信建設事業の施工管理職を望む人へ

前書き

「NTT通信建設事業の施工管理職の働き方」というのは、「従事する人の価値観に対する要求が厳しい働き方」に属するものです。 NTT通信建設事業事業の施工管理職に従事する人は、どのような価値観や働き方を求められるのか…この記事でそれを書いていきたいと思います。

災害時、家族より仕事を優先できますか

NTTの通信設備というのは、一般に「ライフライン」と称される生活必需インフラに含まれるものです。 こうした生活必需インフラは、災害発生時においても、いや災害発生時にこそサービスレベルを落とさずに事業が継続されることを求められます。 できるだけ早い時期の復旧も求められます。

NTT通信建設事業というのは、こうした設備の工事・維持・運用を行う事業です。 災害発生直後にこそ最も必要とされる事業ですし、災害発生直後にこそ最も忙しくなる仕事です。 大地震や台風などの大規模な自然災害となれば、数ヶ月にわたり、現地にて不眠不休に近い働き方で仕事をすることが求められます。

NTT通信建設に限らずですが、この手の「災害対応そのものが重要業務に含まれる事業」で仕事をする場合、「災害時に家族より仕事を優先すること」が求められてきます。

(特にJV代表会社の場合)全国転勤にいつでも対応できますか、単身赴任は可能ですか

「JV代表会社」というのは、以下3社を指します。

上記3社のNTT通信建設事業は、他の地場通信建設会社とは異なり、「北海道から沖縄まで、日本全国」を地理的な事業範囲としています。 これらの会社の施工管理職においては、「災害復旧」「大規模な通信インフラの整備」といった仕事が発生した場合、受注内容により「日本全国いずれかの地域で施工管理に従事すること」を求められます。

  • 今まで東京でオフィス業務に従事していた施工管理経験者が、沖縄離島での災害復旧事業の施工管理に従事することになった
  • 今まで東京でオフィス業務に従事していた施工管理経験者が、北海道地方部での通信インフラ整備事業の施工管理に従事することとなった
  • 今まで関東で施工管理業務に従事していた人が、沖縄離島での災害復旧事業の施工管理に従事することとなった

以上のような事態は、場合によっては1年に複数回発生します。 特に最近は、大規模な復旧工事が必要となる自然災害の発生が多くなっており、こうした事態が発生する可能性も高くなっています。

また、「本社業務従事者も含め、全国レベルでの転勤が存在する」という労務管理体系により、「他地域に生活基盤(妻子など)を持つ社員の単身赴任1」というのも頻繁に発生します。 例えば「関西や四国に生活基盤を持つ社員が、東京で本社業務に従事する」というやつです。

特に自然災害はいつ発生するかわかりません。 それだけに、NTT通信建設事業の施工管理職は、「全国転勤にいつでも対応できること、単身赴任が可能であること」が強く求められるのです。

不規則な働き方に耐えられますか

「不規則な働き方」というのは、例えば「夜勤や連続勤務等を含む勤務」を含みます。

NTTの通信設備というのは、以下のような理由により、夜間でなければ工事を進めることが不可能な場所に設置されていることが少なからずあります。

  • 交通量の多い道路脇、あるいは道路下に設置されている
  • 商業施設に引き込まれており、営業時間中にサービスを止めることができない

夜間に工事を進めるためには、当然、必要な要員を夜間に配置する必要があるということになります。 それは現場作業のみならず、施工管理側の要員についても同じことです。 特に都市部の工事に従事することとなった場合、夜勤や連続勤務の発生は覚悟しておかなければなりません。

結語

「電気通信インフラ」というのは、少なくとも我々が生きている間において必要とされなくなることはないでしょう。 また、NTT通信建設業界というのは、参入障壁が高く、これ以上の再編が望めないほどに業界として完成されています。 すなわち、それだけ雇用や身分が安定しているということです。 他業界ではもはや死語と化した感の強い「終身雇用」も、この業界であれば十分に狙うことができます。

上記のような働き方に耐えられるのであれば、「一生食いっぱぐれないであろう、とても安定した仕事」という見返りを得ることができます。 そういう仕事を望む就活生の皆さん、「NTT通信建設業界」も就職先として検討してみてほしいです。


  1. 「人の居住がある地域であれば、必ず提供されなければならない」という性格のサービスを対象とする事業である以上、育児・教育・他の家族の就労継続に関する環境が不十分と考えられる地域にも事業拠点は設置されなければなりません。なおかつ、主たる業務が現場管理である以上、僻地の事業拠点にも人員を配置しなければなりません。育児・教育・他の家族の就労継続に関する環境が不十分な地域に家族で引っ越すというのは現実的ではなく、そのような地域の拠点に配属となった場合、必然的に単身赴任とならざるを得ません。

記号のタッチタイピングができるようになると、何が変化するか

前書き

私は現在、「記号のタッチタイピング」の練習を続けています。 アルファベットや数字のタッチタイピングは今までも一通りできていたのですが、記号のタッチタイピングは今まで未着手でした。 このような人は、私のほかにも少なからず居るのではないでしょうか。

記号のタッチタイピングができるようになると、「アルファベットのみのタッチタイピング」と比べても、「キーボード入力」について大きな変化があります。実際どのような変化があるか、以下に挙げていきます。

キーボードのホームポジションから指を離す場面が減る

アルファベットに加え、記号もタッチタイピングできるようになると、ホームポジションから指を離す場面が「アルファベットのみのタッチタイピング」より明らかに減ります。 その結果、キーボードの上で手指が過ごす時間が今まで以上に増えることになります。

プログラミングにもっと興味を持てるようになる

多くのプログラミング言語において、<>[]{},.;:/-_=+等の記号を入力することになる機会は多数発生します。 記号までタッチタイピングできるようになれば、「記号の入力が億劫」という障壁が低くなるので、結果プログラミングにもっと興味を持てるようになるのです。

完全なタッチタイピングの次を考えるようになる

ホームポジションから指を離す場面が減ると、タイピングについてもっと深く考えるようになります。 キーボードだけでできることが増えるので、今まで疑問に思っていなかったような事柄に疑問を持つようになるわけです。

  • キーボードからマウスに手を移すのが億劫になる
    • キーボードだけでできることを増やそうとする

その結果、「キーボードのさらなる活用」に関する様々な事柄に興味を持つようになります。 興味を持つようになる事柄としては、以下を挙げることができます。

  • カーソルキーを使わないカーソル移動
  • 各アプリケーションのキーボードショートカット

キーボード沼への入り口

私の場合、行き着く先は「キーボード沼」ということになるかもしれない、キーボードについてそのレベルまで調べものをするようになりました。 「キーボード沼」の顕現としては、以下のような事柄が考えられます。

  • 入力効率のいい入力方法を極める
  • 入力効率のいい物理キー配列の知識を得る
    • Column-Staggered
    • Ortholinear(格子)
    • 左右分離
  • 以下のような動機により、キーボードを自作する
    • 理想の物理キー配列を実現する
    • 「特定のキーのみ重いor軽い」等、市販品で実現できないキータッチを実現する
    • 単に電子工作の一バリエーションとして
  • 独自の論理キー配列を考えるようになる

「キーボード沼」のさわりの部分については、ぺかそ氏による連載「ハロー、自作キーボードワールド」がITmediaにて掲載されています。

www.itmedia.co.jp

記号のタッチタイピングを始めた今、私が思うUSキーボードの利点

前書き

私が私物として所有しているキーボードは、現在US配列のキーボードのみです。現在実際に使用しているキーボードとしては以下の通りとなります。

  • REALFORCE R2 テンキーレス
    • +FILCOの茶軸テンキーを左に置いて使用
  • FILCO Majestouch MINILA Air

最近、ふと思い立ち、記号のタッチタイピングを練習しています。 これらキーボードを揃えた当時には、「何となくプログラミングで使う入力が便利そう」ということでUSキーボードにしたのですが、記号のタッチタイピングを行うようになり、改めてUSキーボードの利点が整理できました。

ホームポジションに手を置いたとき、右手側のキーの数がちょうどよい

JISキーボードほど「ホームポジションの右側」にキーが多くなると、以下のような点でつらくなってきます。主に右手小指の運用がつらいです。

  • [Shift]キーを押さえるのがつらい
  • [Enter]を打つのがつらい
    • 私の手の大きさ・手指の長さだと、USキーボードにおける[Enter]キーの位置が「ギリギリ自然に押下できる位置」という印象である1

[Shift][Enter]といったキーを使う機会は多いので、これらのキーの押下に無理があるレイアウトというのはやはりつらいです。

USキーボードだと、JISキーボードに比べて「ホームポジションの右側・ホームポジションのある段±上下1段」のキーが1列少ないので、右[Shift][Enter]といったキーを押下するのにギリギリ無理がありません。

記号の配置が自然である

少なくとも私個人としては、以下のような要素に美しさを感じます。

  • []が真横に並んでいる
  • ["][Shift]+[']である
  • [:][Shift]+[;]である

もう一つ。Vimの検索系機能を使うキーストロークにある[#][*]は、USキーボードの記号配置だと、見事に「右手中指」と「左手中指」という組み合わせになります。歴史的な順序関係からすると、これは「最初から承知の上で定義された」というのが正解なのでしょう。この他にも、「ショートカットキーの配置がUSキーボードの記号配置に最適化されている」という例は少なくないようです。

www.itmedia.co.jp

…なお、「Vimにおいて、[:][Shift]を押しながらでないと入力できないのは大変つらい」というのは、Vim側のキーアサインの変更で対応するのが妥当と思います。


  1. JISキーボードの場合、USキーボードで[\]キーが割り当てられている位置も[Enter]キーの領域となっているので、USキーボードで[\]を打つような感じで[Enter]キーを打つのが妥当なやり方なのだとは思います。

「建設工事に従事する一人親方」は、「IT系フリーランス」と異なり、業界全体で問題視される存在である。その違いは何か

導入

「IT系フリーランス」と「建設工事に従事する一人親方」。以下のような共通点があります。

  • 雇用契約ではなく、その他の契約形態に基づいて役務を提供する
    • 請負契約、準委任契約等
  • 労働基準法適用の労働者ではなく、事業主という立場で事業に従事している

しかしながら、業界内における位置づけは、以下のように大きく異なるものとなっています。

  • 「自由な働き方の一類型」として見られることが多いIT系フリーランス
  • 「建設業の暗部」として見られることが多い一人親方

このような違いは、如何にして生まれたものなのでしょうか。「IT系フリーランスの働き方」についてはあまり知識がないので、以下「建設工事に従事する一人親方」の側から見てみたいと思います。

業務の危険有害性

「IT系フリーランス」と「建設工事に従事する一人親方」。その大きな違いの一つは「業務の危険有害性」です。

建設工事従事者が従事する業務は、IT系フリーランスが従事する業務ではありえないような、本質的に危険有害性を孕んだ業務であることが多いです。以下は「本質的に危険有害性を孕んだ業務」の一例です。

  • 高所作業
  • 重量物運搬作業
  • 重機を用いる作業
  • 自動車交通のある道路上での作業

上記のような業務の危険有害性に起因して、建設工事に従事する一人親方には、IT系フリーランスでは問題にならないような、以下のような問題が発生してきます。

現場の安全衛生マネジメントの実際と、その中における一人親方の立場

建設現場は、本質的に危険有害性を孕んだ業務が多く存在するため、「安全衛生マネジメント」が非常に重要なものとなっています。「安全管理」は、現場監督の4つの仕事の1つとされます。労働安全衛生法にも、「特定元方事業者」等、明確に建設業を対象とした規制の枠組みが存在するほどです。

建設現場における安全衛生マネジメントは、その大半を労働安全衛生法に依拠しています。しかしながら、労働安全衛生法の対象となるのは原則「労働基準法適用の労働者」のみです。一人親方等、「労働基準法上の労働者ではなく、事業主に分類される属性の作業従事者」は対象となりません。そのため、建設現場の安全衛生マネジメントにおいて、一人親方等は宙に浮いた扱いとなってしまいがちです。

労働安全衛生法上の「特別教育」について

例えば、労働安全衛生法第59条第3項により事業主が労働者に実施することが義務付けられている「特別教育」も、一人親方であれば法律上は対象となりません。一人親方は労働者ではないからです。

一方で、「従事する建設工事の請負契約約款」「加入する労災保険組合の規約」等により、「一人親方等の事業主であっても、現場作業に従事する場合、労働安全衛生法上の特別教育を受けなければならない」というルールになっている場合も多く存在します。

建設工事に従事する一人親方労災保険加入

建設工事に従事する一人親方は、危険有害性が高い業務に従事しており、かつ、労働基準法が適用される労働者と変わらない働き方をする場合が多いです。そのため、本来は労働基準法が適用される労働者以外に認められない労災保険への加入が、「特別加入団体を通じての特別加入」という形で認められています。

労働安全衛生法における、建設業の特別扱い

建設業には、古くから重層下請構造が存在してきました。そのため、労働安全衛生法においても、建設業の元請事業者は業種名指しで「特定元方事業者」とされています。

元請事業者が特定元方事業者とされることによる影響は、末端の一人親方にまで及びます。元請事業者が特定元方事業者とされる事業のうち、元請事業全体で一定数以上の労働者が従事する事業の場合、関係するすべての下請事業者にも「安全衛生責任者」の選任が必要となります。この「安全衛生責任者の選任が必要となる下請事業者」には一人親方も含まれます。

建設工事に従事する一人親方の労働者性の高さ

「IT系フリーランス」と「建設工事に従事する一人親方」。その違いの一つとして、「建設工事に従事する一人親方の労働者性の高さ」も挙げられるでしょう。

建設工事に従事する一人親方は、IT系フリーランスに比べ、一般に労働者性が高いと考えられています。例えば、「事業主属性の者の労災保険加入」は、IT系フリーランスには認められない一方、建設工事に従事するに従事する一人親方は「特別加入」という形で認められています(上述)。

社保逃れの手段としての一人親方

建設業界においては、昔から「社会保険加入義務を免れる目的で、雇用契約を結ぶことが妥当な働き方をする工事従事者を、請負契約に基づく一人親方として作業に従事させる」という脱法的な手口が横行してきました。その内実たるや、「社会保険料を負担しない脱法事業者が、社会保険料を適切に負担する事業者に比べ、低価格での入札が可能となるため、競争上優位に立つ」という事態すら問題になっているほどです。

「2020年10月1日以降申請の建設業許可において、適切な社会保険への加入が許可要件とされる」等、建設業における社会保険加入対策は強化が続いています。こうした中で、2020年前後には「社保逃れの手段としての一人親方化」が改めて問題となっています。

www.mlit.go.jp

www.kentsu.co.jp

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